夏の日常編

EP.1夏の始まり



 夏の日差しを浴びながら「暑い」と呟き歩く、さくらという女の子は今日もまた少し元気がなかった。それは、あくまでも体力的な話ではない。暑さから来るものなのだろう。

 手首のヘアゴムを使い、肩に付かない程度の長さの髪を、後ろに束ねて、括る。それだけでも暑さを多少軽減させる事が可能だった。


 ハンディファンを回しながら、タオルで顔を拭う。


 さくらはアンパンマンが大好きな普通の女子高生。ボブヘアに切りまとめられた髪型が似合う可憐な女の子である。

 後ろに束ねられた神のお陰で、左耳の少し上辺りに付けられているアンパンマンのヘアピンが覗かれる。

 身長は平均より少し低め。体型は細身であるが胸が少し出ていた。


 夏の朝は涼しいようで暑い。涼しげな風が吹いていながら太陽の照らす陽が差し出していて結局の所暑いのだ。


 時間が経って行き、涼しい風も何処へやら。蝉の鳴き声が大きくなり、太陽の光が強くなる。


 ミーーーーンミンミンミンミーーン……。


 蝉の鳴き声も相まって、より暑さが感じられる気がする。


 ジンワリとまた汗を掻く。ソルティライチを軽く一口飲む。

 一つ一つ足を前へと運びつつ、踏切を前に足を止める。電車が通った数秒後に踏切は通れるようになり、目の前を見ると友人が踏切前にあるマンションにて座っていた。


 友人の名前はまきというらしい。彼女は肩より長めの髪の長さをしており、またそれをさくら同様後ろで束ねて少しでも涼しさを感じられるよう努めている。


 さくらを見つけたまきは瞬時に笑顔を作り、「さくちゃ〜ん、おはよ〜〜」と言いながらさくらに向かって手を振る。

 さくらもニコリと笑いながら手を振り、まきに近付いて行く。


「まきちゃん、おはよ」


「あー、もう。今日ホント暑くない!?」

 

「ホントやね〜。暑過ぎて溶けそう」

 

「さくちゃんが溶けたらうちが食べるね」


「まきちゃんに食べられるのか……」


「さくちゃんどんな味すんのかな。イチゴかな? さくらって名前やし、サクランボとか?」


「めちゃくちゃいい笑顔しながら怖い事いうのやめて」

「イチゴ味でもサクランボ味でも可愛く無いからね?!」


「あはは、冗談やん〜」


 2人してそんな冗談を笑いながら暑い事を忘れて学校への道路を行く。


 その道路の道中にて、ゆうかという女の子を見かける。彼女も友人の1人である。

 さくらとまきよりも長く伸ばした綺麗な髪を靡かせながら、まきに名前を呼ばれたタイミングで振り返る。

 振り返り美人とは彼女の事を言うのか。


「あ、まきちゃん、さくちゃん! おはよ〜〜」


「おはよ、ゆうかちゃん。今日も今日とて美人ですなぁ〜〜? これは今年の夏休みの花火大会にて男が出来る予感ですかな?」


「まきちゃん? うちに出来るんなら、まきちゃんにもできるやろ〜?」


「てか、なんで二人に彼氏出来ないの?」


「さくちゃん? いい? 私は出来ない、じゃなくて無闇矢鱈と作ろうとしないだけやから!」


「まって、まきちゃん。それうちが作ろうと必死みたいな流れになるやん」


「えっ、私はそんなことを……言ったつもりは……あはは」


「まきちゃ〜ん? きらーい!」


「二人とも可愛いからすぐ出来ると思うけどな」


「さくちゃんの方が、やろ〜。こんなべっぴんさん、なんでみんな放ってるん〜? おかしない? な、まきちゃん」


「ほんまほんま。こんな美少女なかなかに居らんのにね」


「急に矛先をさくらに向けないで!」


「矛先なんてなぁ〜。うちは思った事言ってるだけやしなぁ」


「それな〜〜」


 さくらの照れた顔を見た2人は、ニヤニヤと笑いながら学校の校門の前でさくらの頭を撫でる。


 校門へと入り、靴箱へと向かう。ミンミンと小煩い蝉の声が聞こえていないかのように三人は談笑しながら歩く。


 


 

 学校の昼休みになる頃には既に猛暑にでもなったのではないかと疑う熱量を浴びたグラウンドから帰ってきたさくら達。更衣室で、体操服から制服に着替えながら、滝の様に流れる汗をタオルで拭く。


 クーラーの効いた更衣室の中、体育の授業で浴びた熱を外へと逃すために下着姿でクーラーの風を浴びる。


「んん〜〜っ涼しい……。あぁ、生き返る……。ほんと、これが扇風機やったらうちら死んでたで」


 まきがそう言いながら、クーラーの風をひたすらに浴びる。


「ほんまやなぁ〜。でもあんまりゆっくりしてるとお昼休みも終わるからぼちぼち行かなあかんなぁ」


 ゆうかはそう言いながら、制服に着替える。


「あの暑さの中からこのクーラーをガンガンに効かせた部屋に来てすぐに出て行けってのはある意味鬼やよね」


「そんなん言っても、教室もクーラーガンガンやけどな」


 まきはそう言いながら笑う。


「そない言うても……動きたくないんやもんな〜〜」


 ゆうかはそう言い、更衣室のベンチに座りクーラーに涼む。


「わかる〜〜」


 さくらはそう言い、タオルで汗を拭う。

 クーラーの風が汗を通して涼しさを通り越して多少の寒さが感じて来る。

 

 三人の談笑に割って入って来た女子がいた。彼女の名前はさつき。少し癖の掛かった髪をボブ程度まで伸ばし、先程まで後ろで束ねていたのを更衣室に戻って来て解いたらしい。


「さくちゃん、まきちゃん、ゆうかちゃん! 夏休みに花火大会あるやん? うち行きたいねんけど、三人とも行く??」


「あ、そう言えばもうそんな時期かぁ」

「私は行くと思うけど」


「さっちゃんも行くん?」

「うちはさくちゃんと行こうと思ってた」


「うん、行こっかなぁって思ってるよ。でも一人で行くのは寂しいけん、誰かと行きたいなぁって!」


「私、さっちゃんの浴衣見たい! さっちゃん浴衣着てくるやろ?」


 まきがそう言い、さつきの顔を覗く。


「勿論浴衣着て行くよ! お母さんが用意してくれるって言ってくれてるし!」


「さっちゃんの浴衣? それだけでさくらが花火大会に行く案件立ったんですけど」


「わかる。うちも見たい。うちも行くとなると浴衣かな。せっかくやし」


「……ゆうかちゃんの浴衣だって……」


 さくらはそう言いながらまきの隣に立つ。


「……おいおい、ヨダレが垂れかけたぞ……」


「いや、まきちゃん。もう垂れてる」


「流石にキモいからやめて」


 ゆうかは軽く引きながら水筒の水を飲む。


「さくちゃんもまきちゃんも浴衣で来たらええやん! みんなで着ようよ!」


「え、めっちゃいい……行こ行こ!」


 まきが興奮気味にそう言う。


「みんなで花火見ながらりんご飴舐めようよ」


「うちめっちゃりんご飴好きやで〜〜」


 ゆうかはそう言いながら桜の頭を撫でる。

 

「うちは、いちご飴も食べたい!」


「いちご飴いいよね〜〜」

「私、ぶどう飴好きやで」


 四人はそのまま制服に着替え、談笑しながら更衣室から廊下に出て、教室に行くまでの間4人で話を盛り上げていた。


 教室に着いた頃、クラスの高身長美女子の二人組、はるかとみうから声を掛けられる。


「まきちゃん達! 丁度ええとこに! 今日カラオケ行くんやけど行かへん?」


 みうはそう言いながら歩くまきとさくらの間に入る。


「クラスの男子と行くんやけど、ウチらだけってのもって思ったのとみんな来てくれたら楽しいと思うの!」


 はるかはゆうかの隣を歩きながら嬉しそうにそう言う。


「今日は別に予定無いからうちは別にええで〜〜」


「さくらも予定ないよ」


「クラスの男子数人か……ちょっと彼氏の日高に怒られるかも……それにまきちゃんファンクラブの人達も騒いじゃうかも?」


「彼氏? 日高?」


「まきちゃんファンクラブ?」


 みうとはるかは二人して頭に疑問符を浮かべる。


「二人とも、大丈夫。安心して。いつものただの妄想やから」


「はぁ〜〜??ゆうかちゃんきらーい!!」


 まきの返しに皆は盛大に爆笑しながら教室へと入って行く。

 


 


 夏の猛暑の中、体育という授業を受け、めちゃくちゃな量の汗を流しながら全員で笑い合いながら授業終わりの後水道で水を浴び合う者達。彼等はDK“男子高校生”と呼ばれている。


 その中の一人りゅうのすけは、グラウンド近くにある段差に座り込み、俯いていた。

 そこら辺のイケメン俳優よりもカッコいい顔立ちをした彼は学校の中でもかなりの人気を有していた。

 りゅうのすけに近付いた男子、せいやはりゅうのすけの肩を叩きながら声を掛けた。

 短いながらセットされた髪の毛を見る限り、運動をしながら上手く髪の毛が崩れない様に動いていた事がお見受け出来る。


「おう、りゅう。大丈夫か?」


 クラスメイトのせいやが、座り込むりゅうのすけに声を掛ける。


「……はぁ……はぁ……クソ……学校の後乗馬に行くんだぞ……殺す気か……」


「とりあえず暑いから更衣室行こうや」


「せいやくんヤンキーなのに優しいよね」


「っるせぇ! 俺はヤンキーちゃうわ!」


「いつもいつシメられるんだろうってドキドキしてる」


「シメへんし、ドキドキすんな」


「んふ! てか、かずきくんは?」


「かずきなら、そこで水浴びて汗流してたぞ」


「水も滴るいい男ってか? おーい、かずきくーん! 一緒にお昼ご飯食べよ〜〜!」


「あいつのさっきまでの瀕死状態どこ行ったんや……」


 りゅうのすけは手を振りながらかずきという男子生徒へと近付いて行く。

 黒髪短髪でキリッとした目が特徴な彼は、りゅうのすけ程ではないにしろ女子に人気がある男子の一人であった。


「……お、あぁ。りゅうくんか。ちょっと待ってや」


「大丈夫! 安心して! 俺かずきくんに焦らされるの慣れてるから!」


「俺がいつお前を焦らした……」


 「うっそ〜〜!? この前の夜を忘れたの〜〜?? ねぇ、ひろあき〜〜!」


 ちょうど横に居た真面目そうな雰囲気を醸し出す男子生徒、ひろあきにりゅうのすけは声を掛ける。


 ひろあきは素っ頓狂な顔をしながら「へ?」とだけ言う。


「ひろあきに無茶振りしたるなや」


「かずき〜〜この前激しい夜を共に過ごした仲じゃないの〜〜」


 腕と足と腰をクネクネとしながらせいやはかずきにそう言った。


「話をややこしくする為に入ってくんなや〜〜。てかクネクネやめえや」


 かずきは、笑いながらツッコミを入れる。


「三人の秘密だったのに言っちゃってごめんね!」


「いやいや、俺らなんもしてないやん……」


「ひろあきは無関係!」


「ひど!」


「ねぇ、かずき?! わたしとは遊びだったの!?」


「……なんやこのカオス空間は……」


 ほどなくして4人は更衣室へと歩いて行く。今日の昼飯は何を食べるのか、帰った後は何をするのか。そんな他愛も無い話をしながら。


「あぁ〜〜あぁああ〜〜。暑い〜〜疲れたぁ〜〜」


 かずきはそう言いながら、更衣室のベンチに座り込む。


「かずきくんの手作り弁当楽しみだな!」


「なんでやねん。つーか俺が手作り弁当なんか作ったらゲテモノしか出来へんぞ……」


「かずきくんの作ったモノなら俺はなんだって食べるよ……!」


「おいおい、ホモップルそろそろ閉幕してくれや」


 せいやはそう言いながらタオルで汗を拭う。


「閉幕する前に開幕すらしてねえよ! お前もさっきまでそのノリで来てたくせに!」


「はは。あ、そういやさっきクラスの女子達が夏休みの花火大会で盛り上がってたで」


「ひろあきナイス。いいやん、花火大会」


 せいやはそう言いながら、制服に着替える。


「花火大会なんて暑いだけだろ。ゲームしてくるわ」


「んな事言うなよ、りゅう。ほら、女子の浴衣とか見れるやん」


「興味ねーよ」


「りゅうくん、一緒にたこ焼き食べようよ」


 ひろあきは苦笑しながらりゅうのすけにそう言う。


「たこ焼き? いいね」


「コイツ、女子の浴衣よりたこ焼きに釣られるって、健全な男子高校生としてどうなんだよ」


 制服のボタンを閉めながらかずきは苦笑する。


「もしかしてマジのゲイ?」


「……ないやろ」


 

 


 学校が終わり、放課後。たった数時間過ごした学校は長いようで短くあっという間に終わりを告げ、さくら達は靴箱で靴を履き替えている。


 明日は土日休み。そしてもう少ししたら夏休み。いろんな楽しみが待っている夏休みがもう少しで手の届きそうな今日。


 さくらは一番遅くに靴を履き替えて、まき達のいる場所へと駆けつける。


 まき、ゆうか、みう、はるか、さつき達と一緒にガールズトークに華を咲かせながら駅前にあるカラオケ屋へと足を運んで行く。


 カラオケに着くとそこにはクラスの男子が既にいた。

 背が高く、ガタイがしっかりとしたあきせ。優しそうな顔でまき達を迎え入れる。


 短髪でヘラヘラとした笑顔が特徴なくうどう。ヘラヘラしながらもある程度整った顔のおかげか誰もヘラヘラした顔を気にも留めない。


 筋トレが趣味の短髪爽やか笑顔のたいちは、ヘラヘラしてるくうどうの顔を見て何故か吹き出して笑ってしまう。


 背の高い茶髪をセットしたイケメンのせいじは何を歌おうかと曲選びに没頭する。


 特に何事も無く楽しいカラオケの時間は過ぎ去って行く。みんなそれぞれが様々な曲を歌い、盛り上がりを見せ、ずっと笑いが絶えなかった。


 さくらの初々しい歌い方に皆が癒され、ゆうかのスタンダードな上手さに皆が拍手を喝采する。

 まきとあきせの盛り上げ上手さで常にカラオケの盛り上がりは安定していた。


 くうどうのネタの詰め合わせかと言わんばかりの歌のチョイスに爆笑の渦を巻くカラオケのワンルームは、あっという間に退出時間を迎え、彼らは料金を払う為に談笑しながら部屋から出た。


 楽しい時間は一瞬で過ぎ去り、料金を支払い、カラオケの自動ドアを開けて、みんな一斉に外へ出る。


 背伸びをしながら、あくびをしてあきせはみんなに声をかける。


「いやぁ〜〜楽しかったな!」


 あきせはそう皆に話しかける。


「いや、ほんまにな?」


 たいちはそう言い、ジュースを飲む。


「あきせ君の男と女が一番おもしろかったな」


 まきはそう言いながら思い出し笑いをする。


「いや、待って? 俺のとびらをあけてのが面白かったやろ?」


「いや、くうどう君はネタ詰め込み過ぎて笑いが止まらんかったわ〜〜」

「あかん、腹痛い」


「せやろ? ゆうかちゃんは分かっとる」


「ふふふ」


 さくらは二人のやり取りを見て微笑む。


「どうでもいいけど、お腹減ったわ〜〜」


 まきがそう言いながら、腹を抑える。


「ほんまに。でもな、聞いて? 帰ったらお母さんがチキン南蛮作ってくれてるってLINEくれたから凄い楽しみやねん!」


 みうがそう言いながら、楽しそうに微笑む。


「え! チキン南蛮は羨ましい! チキン南蛮食べたくなってくるやん!」


 さつきはそう言いながら、涎を垂らす。


「チキン南蛮が恋しい」


 ゆうかはそう言い、目頭を熱くさせる。


「チキン南蛮の心にしたみうちゃん恨めしや」


 まきは物悲しそうにみうの顔を覗く。


「なんでよ!」


「みうちゃん。単にまきちゃんがお腹減ったら、野獣になるだけやから気にしたらあかんで」


「野獣まき。恐ろしや……いや、魔獣か」


「きらーい! たいち君もあきせ君もきらーい!!」


「まきちゃん、今度ご飯食べに行こうよ」

「チキン南蛮でもなんでもいいし」


「はるかちゃん好き」


「んじゃ、俺は今から焼肉やから行ってくるわ」


「くうどう君がいちばん嫌い」


「まきちゃんやばいって。落ち着き」


 ゆうかはそう言いながらまきの背中を優しく撫でる。


「くうどう、また今度飯行こうな」


「おう。たいち。また予定言うわ! あ、まきちゃん、俺今から焼肉行ってくるわ」


「いや、分かってるわ! さっき聞いたから〜〜! もうくうどう君マジできらーい!!」


「ふふ。このメンバーで花火大会行ったらめちゃくちゃ楽しそうだね」


「それいいかも! さくちゃん」


「花火大会? あぁ、そういやもうそんな季節か」


 たいちはそう言いながらスマホを開きカレンダーを確認。


「クラスでその話してたで。俺は去年は行けてないから今年は行こうかなぁ〜」


 あきせはそう言いながら、背伸びする。


「俺は去年お母さんと行ってきたで」


「お母さんと仲良いってだけなのに、くうどうくんがお母さんと行って来たって事実だけで面白いのなんかずるいよ」


「まぁ、仲ええかは知らんけど」

「今のは別におもろいの狙ってへんぞ? さくちゃん」


「なぁ、くうどう君、焼肉連れてって」


「まきちゃん、後で写真だけ送るわ」


「やっぱきらーい!!」


「花火大会このメンツで行くの楽しそうやけど、人数多いからなあ。当日の花火大会の人混み凄そうやからそこが難題かなぁと思うで」


 ゆうかはまきを横目に真面目に話し出す。


「それは確かにやな」

「多分他も来るやろし。かずきとか、りゅうくんとかも誘うやろ?」


「せやろな。なおちゃんとか、ひなちゃんとか。多分他にももっと。当日、何人かに分かれたりしてもええかもやな」


 あきせがたいちにそう提案する。


「男女二人ずつに分かれたら、どこかのカップルが恋に発展するかも?」


「ほーう。にやにや」


「まきちゃん? さっちゃんの提案を聞いて何故うちの方見ながらニヤニヤするんかな? てかまきちゃんの方こそなんかあるんやない?」


「うちはもう彼氏おるからなぁ〜」


「まきちゃん彼氏おったん!?」


「うそやん! 大阪のおばちゃんやのに!? できたんやな!」


 たいちとあきせが二人して笑いながらまきにそう言う。


「なにー? 二人ともきらーい!」


「安心して。まきちゃんの妄想やから」


「ゆうかちゃんもきらーい」


「安心して。俺らも分かってる」

 

「そんな事信じるほどアホやない」


「なんなん!? あきせくんもたいちくんも!」


 「まぁまぁ、どうするかはまた追々決めることにしよ!」


「そだね、さっちゃん。とりあえず今日はそろそろ帰るよ。晩御飯食べなきゃだし」


 そうして各自解散し、各々の家へと帰宅を開始して行く。


 これから起こる花火と共に打ち上がる何かを知らずに。

 

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