俺は×××の×××は×××だと思う

 頭使って疲れたな...


「お!ルーク!こんなところにいるなんて珍しいな!」


「スミスか。もう依頼は終わったのか?」


「おう!」


 スミスはいつも変わらない。

 俺よりは魔物との戦闘に優れた職に就いたため、心に余裕があるんだろう。


「一回ゴブリンの群れに囲まれたときは金玉がヒヤッとしたぜ!」


 スミスの職業は双剣使い。

 高度な空間把握能力を求められる。二本の剣をうまく連動させ、重く鋭い斬撃を高頻度に繰り出す。

 レイピアで貫けない硬い皮膚も、数回切りつければカチ割ることができる。


「ゴブリンか...」


「お前ならゴブリン程度余裕だよな!ルーク」


「そうだな。防御力は人間程度だ。一撃で貫ける」


「そうだそうだ!ゴブリンが持ってたこれ、どうだ?」


「うん...?首輪?番号が書かれているな...」


「ああ。あいつらのリーダーがつけてたんだ」


「まさか...政府が管理しているから...」


「管理?何のことだ?」


「い、いや何でもない。人間から奪ったものだろ。多分」


 ×××...

 ×××...

 アイツの言っていた通り、×××が本当なら...


「スミス、お前は、この世界に裏があると思うか?」


「まあ、あるにはあるんじゃないか?多分俺に金髪巨乳美女の妻がいないのは、貴族のせいだ」


「ブレないな...いや、まあ...その、最近実はこの世界には裏の支配者がいるんじゃないかと思って...」


「なんでそう思ったんだ?」


「実は魔物の出現から、×××が動きやすくなっているんだ。だって冒険者がいることによって、×××の×××が楽になる。それに最近のスライムの減少も、×××の影響だと思うよ」


「違う。なぜそれを信じるようになった?」


「だから、今言った通りの理由で...」


「だから質問に答えろ。今のは論理的な理由じゃない。俺の質問は、なぜそれを"信じる"ようになった?」


 こんなに真剣な顔のスミスは、見たことが無かった。

 まっすぐこちらを見るスミスの瞳は、俺の中身を捉えているようだった。


「.........」


「...答えられないか...」


 何か、気持ち悪かった。

 心臓を、直接つつかれているような気分だ。


「"事実"と"信仰"は別物だと思うよ、ルーク」

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