勇者ってじつは×××らしいですよ

猫の耳毛

何か理由があると思う。

 名はルーク、29歳、冒険者。

 毎日が暇で、とりあえず依頼を受け続けて生きている。

 稼いだ金はすべて生活費でなくなり、貯金が一向に増えない。

 冒険者と言っても近場に自然発生した魔物を殺すだけだ。

 このまま一生を終えるのだろう。

 しかも、俺の職業は決闘者!名前はかっこいいが、スピード以外取り柄のない、レイピアしか使えない剣士だ。

 瞬間的なスピードは最速の職業だが、細い剣であるレイピアしか扱えないうえに一撃の威力が...

 まあ簡単に言えばハズレの職業だ。


「勇者が幹部を倒したぞ!」


 今日も聞こえる勇者の功績。

 俺も小さい頃は勇者に憧れてたが、現実はそう甘くない。


「チッ、俺も勇者みたいにボン・キュッ・ボンの美女に囲まれてーよ。ルーク、お前もそう思うだろ?」


「だな。俺は来年で魔法使いだ。早く可愛い子と付き合いたい」


 こいつは俺の友人、スミスだ。俺と同じ冒険者で、よく一緒に酒を飲んでる。


「勇者の功績なんか聞き飽きてるっつーのに」


「俺もあんな人生歩んでみたかったなー...」


「よしルーク!気分が落ちてきたから今日は呑みまくるぞ!」


「おう!あ、すみませーん、ビール10杯一気にお願いしまーす!」








 うっ......気持ち悪い......

 頭が割れそうだ...胃が裏返る...

 二日酔いでゲロが止まんない...


「すみません」


 俺が路地でゲロを吐いていると、ある男が話しかけてきた。

 全身が黒い服で覆われていて、仮面をかぶって顔を隠している。


「あ、はい。見たことない人ですね、この町の道案内してほしいとかですか?」


「いえ、あなたには革命家の素質があるので」


 いきなり訳のわからんことを言い始めた。

 しかし、その言葉にはどこか重みがあった。




「ルークさん、あなたは×××を倒す素質がある」

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