第9話 お見舞い
Side 龍崎 零士
何事もなく週末の土日、今日は彼岸のお見舞いの日だ、待ち合わせ場所としてS市の駅前を指定して
「零士、今日のお見舞いで彼岸ちゃん元気だと良いな〜」
「お前また女装道具とか持ってきたりしてないだろうな?」
こいつは一昨年のクリスマスパーティー以来、彼岸に会えると知ると毎回女装道具を持参して来るようになったのだ
「持ってきてないよ!彼岸ちゃんを女装させようとすると嫌がっちゃうから無理だよ、もしかして零士は女装した彼岸ちゃんのこと案外好きだったりして?」
ニヤニヤしながら聞いてくる綾音の頭にチョップを下してまだ来ていない奈津を待つことにするが
「ごめんなさい、どうやら待たせたようね」
ちょうど奈津が来たようだ、時計を見てみると時間はピッタリだ
「揃ったみたいだし行くか、ほら綾音 頭を抑えてないで早く行くぞ」
「だ...誰が、この状況を作ったか知ってて言ってるの?」
綾音は頭を抑え涙目で言ってくる、変なことを聞いてきた罰だと思え
「綾音、また零士に変なこと聞いたのでしょ」
「だって、零士が女装道具持っているか聞いてきたからてっきり女装した彼岸ちゃんの事が案外好きなのかな〜って聞いただけなのに」
「俺が聞いたのは『持ってきていないか』だ決して俺が『持ってるか』聞いたわけじゃない!」
こいつはどうして俺が女装した彼岸の事を好きだと思えるんだ....
駅前で『
「なぁ奈津、彼岸が命に関わる重い病気とか怪我じゃないことは分かったけどよ入院した詳しい理由を教えてくれよ」
病気や怪我じゃないのに入院する理由がわからない、だから今聞いてしまおう
「ごめんなさい、入院した理由まではアスターさんは教えてくれなかったわ」
あの奈津でさえ理由がわからないのか...隠す理由があるのか?
そんなことを考えながら病院前まで着くのを外の景色を眺めながら待つとするか、綾音の方を見るとあいつは奈津と一昨年の女装した彼岸の写真を見ながら盛り上がっていた、待つこと数十分
『次は『碑之坂国際総合病院前』、『碑之坂国際総合病院前』、降りる際は危険ですから、バスが停止してから席をお立ちください』
アナウンスが鳴った
「着いたみたいだな、ほら、綾音起きろ」
いつの間にか寝ていた綾音を起こしてバスから降りた
「ふぁ...よく寝た、いつ見てもこの病院って本当に大きいね」
欠伸をしながら目の前の病院の感想を言っていた、確かのこの病院は大きいし国内有数の『治癒科』が存在する、しかも最新の医療を提供しているため著名人などが良く通っている
「あなた達、早く院内に入って彼岸が何処に居るか聞くわよ」
「そうだな、ほら綾音早く行くぞ」
「ちょっと2人共私を置いていかないでよ〜」
俺達はそのまま病院に入り受付カウンターで彼岸がどこに入室したかを聞こうとした
「もしかして君達は彼岸さんのお友達かな?」
後ろから声をかけられたため振り返ると、そこに居たのは白衣を羽織り緑がかった髪で眼鏡を掛けた人が居た
「えっと、俺達は彼岸の幼馴染で今日はお見舞いに来ました」
その人は彼岸の名前を知っていたから俺達が今日来た目的を話す
「そうか、君達がか、すまないが彼岸さんは今面会謝絶なのだよ」
面会謝絶...だと、あいつは危険な状態だというのか?
「理由を聞いても?それと貴方は何者ですか?」
奈津が面会謝絶の理由と俺達に話しかけてきたこの人の正体を聞いた
「そうだね、私の名前は『ライヒール』で彼岸さんの主治医を務めているよ、会えない理由は君達であっても話せない」
彼岸の主治医の『ライヒール』...先生が俺達に話しかけていたのか、俺達でも会えない理由は教えてくれないってことは
「えっとライヒール...先生、彼岸ちゃんは今命に関わる状態なんですか?」
綾音が恐る恐る聞いた、面会謝絶なのだそれだけ治療に専念しなければならないという事....ますます心配になってきたぞ
「彼岸さんは命に関わるような状態ではないねでも面会は断るよう両親に言われいてね、ですから今日のところはお引き取りください」
「彼岸との面会ができるようになったら連絡をください」
奈津がせめてでも連絡をよこすようにライヒール...先生に提案した
「分かった、私からは連絡しないがアスターくん経由で連絡を送ろう」
面会ができるようになったらアスターさん経由で連絡をくれることを取り決め、俺達は本来のお見舞いができなかったためそのまま帰宅することとなった
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