第3話 不思議な母
「お帰りなさい、彼岸よ」
久しぶりの母さんの声が聞こえた、その返しとして
「ただいま、母さん」
自分の返事が聞こえたらしく
「今日は彼岸の好きなハンバーグじゃぞ!」
ハンバーグ、確かに好きだよくアスターに頼んで作ってもらっていたが今日は母さんが作ってくれたらしい、食卓へ向かうと食卓の椅子腰掛けた父さんと同じく
「ほれ、彼岸の好きなハンバーグに我の完璧な調合をしたデミグラスソースをかけた至高の逸品じゃぞ!」
目の前にあるデミグラスソースがかけられたハンバーグは光り輝いてるようで美味しそうだと思いながら手を合わせ
「いただきます」
と言ってハンバーグを切り分け食べようとしたときに母さんから
「彼岸よ、体調の方はどうじゃ?今日は元気だとアスターから聞きデミグラスソースのハンバーグにしたのじゃが...食べられそうか?」
と体調面を聞かれたから
「元気だよ、でも今日学校で....」
このことは母さんも恐らくは知っているだろう
「今日のことは知っておる、じゃが過ぎたことじゃろ?なら気にせんほうが身のためじゃ」
母さんに今日のことを気にしないように言われたがそんなこと無理だ零士を傷つけ一生残るかもしれない傷跡を残したのだから....
「彼岸様、ハンバーグが冷めちゃいますよ?」
「そ、そうだね」
アスターの一言で今は食事中だと思い出した、母さんとの話は後から言えば良いと思い切り分けたハンバーグを口の中に入れた、ハンバーグを噛んだ途端 肉の食感...肉の味.....
「うっ....」
口内のハンバーグを吐き出した、今日のあの光景を思い出し口内に広がっていた錆びた鉄のような味を思い出し嗚咽を繰り返す、慌ててアスターが近寄り背中をさする
「彼岸よ、我の目を見つめ深呼吸をせよ」
母さんの指示通りに母さんの赤い瞳を見つめながら深呼吸をした、するとすぐに落ち着けた、やっぱり母さんは不思議だ
「彼岸、落ち着いたか?お主は今日のことを気にしすぎじゃ」
確かに気にしすぎてるかもしれない...
「今日のハンバーグは.....諦めるしかなさそうじゃな、待っておれすぐに代わりの品を作ってくる」
するとこうなることが分かっていたかのように根菜の煮物を持ってきた、ハンバーグと同じくらい好きだが...今の状態で食べても吐き出さないかが心配だ、恐る恐る口の中に入れ食べたが問題無く美味しく食べれた、食後の眠気に負け寝室で寝ていたのだが夢の中ですらも今日の光景を思い出してしまい寝付けなかった....そのため母さんの寝室へ向かい一緒に寝た
「彼岸よ、元の身体に戻りたいか?」
夜中 目が覚めまだ寝ぼけている自分に語りかけている気がしたがその時の自分はなんと答えたのか思い出せない....
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