夢鬼理ネットワーク

魔与音 庵

第0話 明日を迎える為の想いの力

「お母さん!お父さん!はやく、はやく!」

「こらー!朝陽、走ったら危ないよ!」

「そうだよ朝陽、お母さんが心配してるよ」


「本当に朝陽は、悪い子だ!悪い子は……食べちゃうぞぉ!」

「キャアぁぁぁぁぁ!」


 お母さんとお父さんが化け物になっちゃった!

 逃げなきゃ!逃げなきゃ!あっ!


「朝陽、みーつけた!いただきます!」

「いやだ!いやだ!いやだ!」


 化け物に食べられるのはいやだ!いやだ!


『汝はそれでよいのか?』


 化け物に食べられるのはいやだ!


『本当に化け物に食べられても汝はいいのか?』

『汝は目の前の化け物を見て、何を想う?』


 分かんない、そんなこと言われても分かんない!


夢宮朝陽ゆめみやあさひ、汝は本当に分からないか?』


 なんでわたしの名前を知っているの?


『理由か?、汝の強き想いに引き寄せられたからだ』


 想いってなに?


『幼き汝にはまだ理解できぬか』


 うん、でもわたしは食べられたくない!


『汝の目の前にいる化け物はなんだ?』


 化け物……夢を食べる鬼……夢喰ゆめぐい


『そうだ、汝らヒトの明日を喰う鬼だ』


 夢喰をやっつける家にわたしは生まれた。


『そうだ、汝の家、夢宮は、ヒトの明日を護るための存在』


 なんでそこまで知っているの?あなたの名前は?



『名前か、我は刻想器こくそうき、汝らヒトの想いを叶える存在』

『強き想いを持つヒトに強き想いと引き換えに明日を迎える力を与える存在』



 明日を迎える力?


『そうだ、汝らヒトが明日を迎える力だ!』

『汝、夢宮朝陽には明日が2つある』



 明日が2つ?


『1つの明日は、このまま夢喰に食べられて、朝、目覚めことを諦める明日』


 もうひとつは?


『もう1つは、ヒトの明日を護るための朝を見ることを使命とする明日』



 いきなり言われても分かんない!分かんない!


『食べられる明日を見せようか?』


 えっ?


「いただきまぁす!美味しかった!」


 いやだ!いやだ!いやだ!


 えっ?時間が戻った?


「お母さん!お父さん!はやく、はやく!」

「こらー!朝陽、走ったら危ないよ!」

「そうだよ朝陽、お母さんが心配してるよ」


「本当に朝陽は、悪い子だ!悪い子は食べちゃうぞぉ!」

「キャアぁぁぁぁぁ!」


 お母さんとお父さんが化け物になっちゃった!

 逃げなきゃ!逃げなきゃ!あっ!


「朝陽、みーつけた!いただきます!」

「いやだ!いやだ!いやだ!」


 化け物に食べられるのはいやだ!いやだ!


「いただきまぁす!美味しかった!」



 もうやめて!


『これが食べられてしまう明日だ!』


 お父さんとお母さんはこんなに弱くない!


『では、汝、夢宮朝陽に問おう!』


『この明日を見た、汝は今、何を想う?』



 明日を見たわたしがなにを想った?


「夢宮朝陽として、夢喰をやっつける!」


『夢宮朝陽……刻想、契約締結』


【夢宮朝陽がユメキリを装備しました!】


「こ、これはなに?」

「これは我のチカラ、朝陽の明日とヒトの明日を護るためのチカラ」

「我はユメキリ、朝陽と約束した刻想器だったモノ」

「今は朝陽の武器の1つだ!」



 わたしは夢喰をやっつける!目の前のお父さんとお母さんの真似をした夢喰をやっつける!



【夢鬼理カウンター!上昇中!】



「あさーひぃぃぃ!悪い子だぁぁぁぁ!食べちゃうぞぉぉ!」


「うるさい!うるさい!うるさーい!」



 これがわたしの明日を護るためのチカラ!


「はぁぁぁぁぁぁ!」



【夢宮朝陽が《夢鬼理ノ滅殺》を発動しました!】


「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」



【夢喰、討滅完了!】


「我はユメキリ、朝陽の側で見護る存在」

「朝陽よ、そろそろ夢覚の時」



 うん!ありがとう!ユメキリさん!



「礼には及ばん」

「お前は夢を見ることができる夢斬士として」

「ヒトの明日を夢喰から護る」

「それが朝陽と我の約束だ」



 うん!約束、約束……


 十数年後……


「どうした?朝陽」

「ユメキリさぁ、これ絶対、ユメギリ貮型の仕業でしょ!」


 私はユメキリにあるニュースを見せた。



『えー、夢覚むざめ市で昨日、市内在住の夢宮 タケミツさん、16歳が、行方不明になった事件の続報です!』


 ニュースを見たユメキリは、呆れながらも私に説明をしてくれた。


「……どうやらあの異世界に憧れたタケミツが、我の一体、ユメギリ貮型を悪用し――」

「夢鬼理ネットワークを使い、エクスアリアと呼ばれる異界の地に転移した……夢喰も一緒にな」

「困ったな……腑抜ケミツめ」

「その世界、エクスアリアだっけ?――」

「エクスアリアには夢斬士はもちろんいないよね?」

「……当然だがいない、しかし……これはまずいな」

「どうしたの?」

「エクスアリアの地は、この世界と違う魔法と呼ばれる力が存在する世界、夢の中で夢喰を自力で討滅できる程の力」

「それってかなり不味くない?」


 プルプル!プルル!プルプル!プルル!


「朝陽です。はい、お父様……はい――はい――分かりました……直ちにエクスアリアの地に……はい、失礼します」


 ツー!ツー!ツー!


「朝陽?やはりか?」

「うん、エクスアリアの地に渡れって――」

「夢宮コンツェルンビルの屋上へ夕刻に行けって――」

「しゃあーないか、夢鬼理ネットワークは私とユメキリの想いと夢宮コンツェルンで作ったシステムだもの――」

「システムを管理する夢斬士の1人としての責任だよ」

「さてと!夢宮コンツェルンビルに行きますか!」



 この時は私は知らなかった、エクスアリアの地での長い旅の始まりになることをタケミツがエクスアリアの地で何をしでかしたのか……


 だけど私は夢に棲む鬼、夢喰を斬る者!


 夢斬士、夢宮朝陽だ!


 第0話 明日を迎える為の想いの力 完


 第1話 朝陽、エクスアリアへ に続く。

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