数学アレルギー、正式登録される

小松たね

第1話


8月、とある総合病院にて。

掲示板に、小松たねの番号が表示されて登録受付の窓口に行く。


たね「こんにちは。お願いします」

たねは健康保険カードを渡す。


事務員「こんにちは。 お名前は、小松たねさんですね」


たね「はい」


事務員は、住所、電話番号、ファミリー・ドクター名を尋ねながら画面と確認していった。



事務員「アレルギーはありますか?」


たね「はい、あります。以前、どこかのクリニックでリストにしてもらったのがあるわ。これを見てください」

たねは、アレルギー源のリストを渡す。


事務員はリストを見てコンピュータに入力していった。

カタ、カタ、カタ、カタ、カタ



突然、事務員は手を止め、リストに眼を凝らした。


事務員「m a t h......これは何ですか?何のアレルギーですか?」


たね「それは、文字通り、m a t h です」


事務員、頭を傾げながら、

事務員「ええっ、そんなアレルギーはありましたかね」


たね「ありますよ。mathematics(数学)ですよ。頭痛が起きるんですよ」


事務員「......それはアレルギーとは思わないですが。薬でも食べ物でもないし」


たね「でもね、私は、そのせいでひどい頭痛が起きるんですよ。二進法とか、sin, cos, tanとか見ただけで頭が痛くなります」



事務員は納得する。

事務員「それなら、入力しておかないといけないですね」


カタ、カタ、カタ、カタ、カタ

事務員は、Mathematicsと入力を完了させた。



事務員「実はね、家で子供がmathematicsの宿題を聞いてくるんですよ。

その度に頭痛が起きていたんですよ。あなたのおかげで原因がわかったわ。

ありがとう。私も次回ファミリー・ドクターに申告するわね」



たね「どういたしまして。原因がわかってよかったですね。お互いに気をつけましょうね」



たねの”Mathematicsアレルギーは”正式にカルテに入力され、

2週間後、アレルギー科の対象に「Mathematics」が追加された。


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数学アレルギー、正式登録される 小松たね @marplecci

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