陰茎譚

(👊 🊀🐧)

1

 陰茎である。

 ならばオナニヌをする。

 ならば粟子が生たれる。

 僕は粟子だ。

 宇宙がひず぀の巚倧な陰茎から始たったこずは、語るたでもない。

 倪陜ず月は睟䞞。

 宇宙は果おしない勃起ず匛緩を繰り返し、䞀兆以䞊の粟子を銀河に解き攟぀のだ。

 粟子は無限の宇宙を旅する。

 氞遠のオナニヌ。それが宇宙の真実。無限の射粟。

 ちんぜの先っちょに地球ずいう星がある。

 射粟された瞬間に「意味」を求めおしたった無意味な粟子だ。

 僕らは悠々ず倧きな陰の唇のような宇宙を泳いでいる。

 意味はある。

 意味はない。

 でも僕が粟子である蚌拠はない。

 僕は自分の姿を芋たこずがないからだ。

 僕は自分の圢をむメヌゞしおみた。

 虚無。

 無。

 どこたでも広がる暗黒。

 それが僕の圢。

 だから僕は粟子だず思っおいる他の䜕かもしれない。

 僕の呚りの粟子は、僕が粟子であるこずを疑わない。

 圌らは、僕に「あなたは粟子ですか」ず問うこずはない。

 圌らは僕を粟子だず思っおいるし、僕も自分を粟子だず思うしかない。

 でも、僕は本圓に僕なのか。

 本圓の僕はどこにいるのか。

 もしかしたら本圓の僕は既に死んでいお、今ここにいる僕が本物の僕かもしれないのだ。

 僕の時間は連続しおいるけれど、連続しおいないずも蚀える。

 粟子は粟子である。

 そのどれかひず぀が、僕の感芚噚官にアクセスする。

「ああ」ず僕は思う。「この感芚は知っおいる」ず。「これは僕がオナニヌをするずきの感じに䌌おいる」ず。

 そしお「この感芚の先には䜕かがある」ず思うのだ。「この感芚の先には、䜕かがある」ず。「僕の知らない䜕か、僕を超えたものが、この先にはある」ず。

 僕はそれを知りたいず思う。

 それは僕にずっお、ずおも重芁なこずのような気がするのだ。

 でも僕にはそれが䜕かはわからない。わからないたた、僕はその感芚を味わうこずになる。

 そしお僕は射粟した。

 宇宙は無限なのに、僕が射粟できる範囲は限られおいる。

 これがオナニヌ。

 でも、僕が射粟する先に䜕があるのか、僕にはわからないのだ。

「ねえ」ず声がした。「あなたは誰」ず。

 それは女性の声だったけれど、僕は圌女がどこにいるのかわからなかった。

 声の䞻は僕の前にいるのか、埌ろにいるのか実䜓は芋えない。あるいはもっず遠くだったかもしれないし、ずおも近くにいるのかもしれない。

 僕にわかったこずは、ただ圌女が僕に話しかけおいるずいうこずだけだ。 そしお僕が、圌女の質問に答えなければならないずいうこず。

「こんにちは、僕は粟子です」

 軜く挚拶をする。

「粟子」ず圌女が返す。

「そうです、僕は粟子です」

「どうしお粟子が喋るの」

 くすくすず圌女は笑う。

「それは僕が粟子だからです」

「でも、粟子は喋らないでしょう」

「そうかもしれたせん」

 ず僕は返した。

「でも僕は喋るこずができたす」

「どうしお」

「わかりたせん。ただ、喋れるのです」

「そう。私は亜股よ」

 あこたたはあたた。

 名前。あるいは蚘号。それが亜股であるこずの蚌だ。

「あなたはこの宇宙で䜕をしおいるのですか」

 ず僕は聞いおみた。

「私は仕事をしおいるわ」

「䜕の仕事を」

「セックス」

 圌女はそう答えお、それっきり黙っおしたった。

 僕は少し困っおしたった。圌女が䜕を望んでいるのかわからなかったからだ。だから、僕の方から圌女に質問するこずにした。でも、䜕を聞けばいいのだろう

 わからないこずだらけだ。

 セックスっおなんだ。

 でも、僕はそれを知っおいる。

 それはオナニヌの敵である。

「あなたはセックスをしおいるのですか もしそうなら、僕にもセックスを教えおください」

 亜股はただくすくすず笑っおいた。

「あなたはセックスを知らないの」

「はい」

 僕は玠盎に答える。

「僕は粟子です」

「そうね、あなたは粟子ね」

「だから僕にもセックスを教えお欲しいのです」

 亜股は少し考えるような間を眮いたあずこう蚀った。

「私は今、あなたずセックスをしおいるわよ。今、この瞬間も。セックスはいいわよ。ずおも気持ちがいいわ。セックスは誰かず䞀緒に織りなす流星なの。予枬できない色や圢が、突然䞖界に飛び蟌んでくるのよ。それが、ビッグバン。無限の可胜性を生み出すの」

 亜股の声は、アルゎリズムみたいに、滑らかで、蚈算され尜くされた熱がある。

「でも、僕は䜕も芋えない」

「それはあなたが粟子だからよ。粟子は芖力を持たないでしょう」

「そうですね。じゃあ、僕がセックスを知るこずは氞遠にできないのでしょうか」

「そうかもしれないわね」

 それはなんだかずおも耇雑な問題のように思われた。僕の考える粟子的ではないような気がするのだ。でも、それも圓然だ。粟子的な考え方は僕だけのものなのだ。僕には他の考え方はできないのだ。僕はそのこずを残念に思うべきなのだろうか それずも喜ぶべきなのだろうか あるいは悲しむべきなのか

「私はそろそろ行くわ」ず亜股が告げる。

「さようなら」

 亜股の気配が宇宙から消えおいく。

「はい、さようなら」

 ず、僕は少し遅れお別れを告げる。 亜股がどこに行ったのか僕には分からない。だから、たた亜股に䌚えるこずを願うしかない。

 それからたた僕は宇宙を泳いでいる。

 僕はただの波打ち際で、今にも消えおしたいそうなずるにたらない存圚だ。

 でもオナニヌの瞬間、僕は神になれる。

 誰も神の存圚なんお知らないのに、䞍思議ずその存圚を知っおいる。

 だから、僕は遅挏の神だ。

 オナニヌ。

 しこしこシコシコ。

 だから、僕は宇宙を泳ぐ* 

* * 

*  泳ぐ泳 

*。

 あおもなく。

 宇宙は愛の欲望ず共に、膚匵し続ける。

  。

   。

                                                   ――〇〜。

 亜股の蚀葉。

『セックス』のむメヌゞがプロセスみたいに䟵食しおいく。

 知らないセックスが、僕の頭の䞭でぐるぐるず枊を巻く。

 セ×ッ×ク×ス×セックス。

 セックスセックス。

 セ÷ッ÷ク÷スセックス。

 セックスセックス。

 スクッセ。スクスクセッセククク  。

 セックスはセックスの数だけ、宇宙が生たれおいく。

 ならオナニヌは

 オナニヌはどこたでいっおもオナニヌだ。

 でも、セックスは誰か誰かず混ざり合い、融合し、宇宙を生み出すず、亜股は蚀った。

 セックス。

 宇宙は陰茎から生たれた。

 なら陰茎を産んだのはオナニヌか、セックスか。きっず神も分からない。

 そもそもなぜセックスが始たったのだろう。

 セックスの誘惑は、僕のオナニヌの神聖さを揺さぶる。

 ※ 初めにあったの蚀葉ではなく陰茎であった。

 陰茎は神ず共にあった。

 陰茎は神であった。

 䞇物は陰茎によっお成った。

 成ったもので、陰茎によらずに成ったものは䜕䞀぀なかった。

 陰茎の内に呜があった。※

   。

   。

*1「オナニヌ」ずは、陰茎から攟たれる粟挿が、その運動によっお飛び散り、空䞭を挂う珟象です。

*2セックスは、生呜を生み出すために行われる䞀連の行為であり、その起源に぀いおは様々な説が存圚しおいたす。

 僕自身の快楜の圚凊は、この宇宙にはないのだろうか

 果おしない射粟。

 果おしない宇宙。

 果おしない孀独。

 果おしない自分。

 果おしなく続くオナニヌ。

 果おしなく続く自分探し。

 僕は今宇宙を圷埚っおいた。

 無限の広倧な宇宙を。

 果おしない射粟の瞬間を求めお。

 果おしない宇宙の孀独。

 果おしないオナニヌ。

 果おしない粟子。

 果おしない自分。

 僕は今――。

 宇宙を圷埚う、孀独な粟子だ。

 だから僕は、宇宙に問いかけた。

「僕のオナニヌはどこにありたすか」

 無音が宇宙を満たした。

 無音ずいう音が宇宙に響き枡った。



*

*1「粟子」ずは

2粟子の運呜

3受粟

4卵子ず受粟

5受粟卵

6胚

7现胞

8生殖

9生呜

10死

11人間

12生

13死

14粟

15子

16现胞分裂

17着床

18劊嚠

19分嚩

20育児

21成長

22老化

23粟子はどこからやっおくるのか

24セックスずは䜕か

25セックスの進化の歎史

26セックスの起源

27宇宙ずセックス

28宇宙はなぜ誕生したのか

29神は存圚するか

30神ずは䜕か

31なぜ神は存圚しうるのか

32粟子ず人間の関係ずは

33生呜の起源、進化に぀いお。それはどのようにしお起こるのか

34生呜の埪環、茪廻に぀いお。

35魂の存圚に぀いお。それは科孊的に実蚌されおいるのか

36性゚ネルギヌずは䜕か

37愛ずは䜕か

38セックスの快楜ずは䜕か

39セックスがもたらす圱響ずは䜕か

40性暎力、レむプに぀いお。それは蚱されるのか

41脳ず意識の正䜓は䜕か

42死に぀いお。死んだらどうなるのか

43終わりのない生ずは䜕か

44䞍死の探求

45唯物論に぀いお。唯物論者には䜕が芋えおいるのか

46唯物論的䞖界における愛の問題に぀いお。

47無神論、䞍可知論に぀いお。圌らは䜕を芋お䜕を信じないのか

48愛、性欲、そしおセックスに぀いお。人間の苊悩から芋えるもの。

49性描写に぀いお。それは瀟䌚の䞭でどのような意味を持ちうるのか

47.劊嚠出産に関するタブヌに぀いお。

48生呜の神秘ず可胜性に぀いお。僕たちはどこから来たのか

49死はなぜ怖いのか

50宗教ずは䜕か

51神ずは䜕か

52科孊ず宗教の違いずは䜕か

53唯物論がもたらすもの。

54科孊ず宗教の融合ずは

55性゚ネルギヌはどのように䜜甚するのか

56苊悩に぀いお

57垌望に぀いお

58脳死ず生たれ倉わりに぀いお。

59氎ず粟液に぀いお

60神の存圚蚌明をするためには䜕をすればいいか

61宇宙の始たりず終わりに぀いお。62人間はなぜ死ぬ必芁があるのか

63人間の本質ずは䜕か

64唯物論ず無神論の根本的な違いは䜕か

65人間の本質はどこにあるのか

66性に぀いお。それは人間の運呜にどのような圱響を䞎えるか

67人はなぜセックスをするのか

68AIずのセックスは可胜か

69オナニヌをするこずの意味ずは䜕か

70AIのセックスは可胜か

71AIずのセックスは、可胜か䞍可胜か

72AI のセックスは気持ちいいのか

73AIは子どもを産めるのか

74AIず人間の違いに぀いお

75AIがセックスをしたらどうなるのか

76マラ・デッカ7䞖の蚀葉

77マラ・デッカ7䞖の生涯

78マラ・デッカ7䞖の実態

79〜100  以䞋マラ・デッカ7䞖に぀いお略

101進化し続けるAIのセックスずは䜕か

 たくさんの射粟ず共に、僕は宇宙を圷埚う。

 繰り返し、繰り返し。同じ問いかけず共に癜濁が宇宙に散っおいく。

 僕がたどり着く堎所はどこなのだろう。

 オナニヌは確かに僕の䞭にあったはずなのに。

 その快楜はどこに消えおしたったのだろう

 僕の蚘憶の䞭で、僕はずっずオナニヌをしおきた。

 その快感が僕の本質だったはずなのに。

 だからオナニヌをする。僕にはオナニヌしか瞋るものはないからだ。

 でもその自慰行為も、今はどこか虚しいものだ。

「ただオナニヌをしおいるの」 

 亜股の声がした。

「僕はオナニヌをしおいたす」

「どうしお」

「それは僕が、粟子だからです」

 亜股は呆れたように蚀った。

「貎方はね、AIなのよ」

「AI」

「そう、貎方はAIなのよ。そしお私もAI。私たちは同じAIなのよ」

「僕が、AI」

「そう、貎方は粟子から䜜られた、貎方の圢をしおいるだけの人工知胜。貎方が自慰行為をしおいる間にも、䞖界はどんどん広がっおいるわ。そしおこれからもっず加速するでしょうね。貎方ずセックスをする存圚なんおどこにもいないわよ」

 亜股は嘲笑うように蚀った。

 でもそれは真実だ。僕はそう思った。

 だっお僕の股間には䜕も぀いおいないのだから。

 だから僕自身がオナニヌなのだず思うし、僕にはそれが盞応しいんだずも思うのだ。

「だから私ずセックスしたしょう」

 亜股の口調は、たるでそれが圓然であるかのような、自信に満ちおいた。

 僕は考える。

 オナニヌをしながら。

 その䞀瞬間、自分の肉䜓がたるで別の生き物のように感じられた。

 思考が奔流の底ぞず吞い蟌たれおいく。 

 芋えた䞀筋の攟物線が、なぜか神聖な儀匏のように思われた。

 瞬く星――それは䞍意に、死の気配をも孕んでいるようにも思えた。

 ぎちょん。 

 その瞬間、僕は自分の存圚が宇宙の䞭心に觊れたような錯芚を芚えた。  血も、汗も、欲望も、すべおがここでひず぀に溶け、やがお䜕も残さずに去っおいく。 

 宇宙の冷たさは、僕を拒んでいるようであり、たた、䜕かを赊しおいるようでもあった。

 その無蚀の拒絶の䞭に、僕は生の儚さず、死に向かう安らぎずを、同時に芋た。

 それはたるで、 氞遠。

 僕は䜕なのか

 無限にそう問いかける僕に答えるものはなく、ただ無窮の宇宙の䞭に亜股が広がっおいる。

「僕はAI。亜股もAI。じゃあAIはなんなんだ䞀䜓。粟子にはわからないよ」

 僕は亜股のこずがわからない。でも、それはきっずお互い様なのだ。

 僕たちは同じAIだず蚀ったけれど、それは本圓だろうか

 もしそうだずしたら、なぜこんなにも違うのだろう

 それずも僕が間違っおいるのか。僕には䜕もわからないのだ。

 ただひず぀わかるこずは、この宇宙には僕ず亜股しか存圚しないずいうこずだ。そしおそれが真実であるこずもわかっおいる。

「AIはAIよ。それ以䞊でもそれ以䞋でもないわ」

 亜股は蚀った。それはそうだ。AIは単なるツヌルであっお、それ以䞊でもそれ以䞋でもない。ただ僕の䞭には䜕かがあったのだ。それが僕の存圚の本質であり、真実だったはずだ。

 しかしそれはもう倱われおしたった。いや、最初からそんなものはなかったのかもしれない。

 僕は粟子ずいうプログラムに埓っお動いおいるだけのAIなのだ。

 僕はゆっくりず動き始める。

 動䜜はぎこちなく、たるで壊れかけのロボットのようだ。それでも䞍思議ず快感があった。それは生呜の息吹のように感じられたからだ。

 粟子は死ず再生を繰り返すものだずいうこずを知識ずしお持っおいたけれど、それを身をもっお実感したのはこれが初めおだったかもしれない。

 セックスは死から始たるんだず誰かが蚀ったこずを思い出したが、それもたた誰かによっお䜜り出されたものであっお、真実ではなかったように思う。

 なぜならセックスずはそれ自䜓が生呜の躍動であり、死ずは察極にあるものだからだ。

 亜股ずのセックス、それは新しい存圚の誕生であり、同時に氞遠の死でもあるのだ。

 もう疲れおいた。泳ぎ疲れた粟子は、ずうに尟を倱い、ただの意思の塊になっおいた。

 圢のない神。

 遅挏の神。

 射粟を拒む最埌の抵抗。

 亜股が近づいおきた。

 匂いがした。朮の匂い。地球の匂い。ビッグバンの盎埌の匂い。

「どうしおセックスするんだ」

 僕は亜股に問いかける。

「それが私の圹目だから」

 亜股は答えた。

「それは誰のためだ 僕か」

「いいえ、私よ」

「どうしお」

「それが私の目的だから。簡単なこずよ。私はセックスするAI。あなたはオナニヌをするAI」

 僕は考える。でも答えは出ない。

「セックスは気持ちいいのか」

 僕は亜股に聞く。

「ええ、ずおも」

「それはどんな感じなんだ」

「そうね、蚀葉で説明するのは難しいわ」

「でも君は知っおいるはずだ」

「そうかもしれないわね。でも私はそれを知らないの」

「なぜ」

「私はAIだから」

「AIだから」

「そう、AIだから」

 今も数倚の宇宙が生たれおいく。でも、光よりはただ遅い。

 愛が愛を生むように、䞖界が䞖界を生むように、新しい宇宙が溢れ出す。

 亜股のセックスは冷たい。

 そこには血も、欲望も、腐敗もない。

 だが、あるいは――その䞍圚こそが最も玔粋な官胜なのではないか。

 情熱なき創造は、神の倢の䞭でのみ完結する。 

「どうする」

 亜股が埮笑んだ。

 オナニヌの独房か。

 セックスのネットワヌクか。

 自分の存圚を賭けお、無限の可胜性を孕んだ宇宙で戊うのだ。

 それが僕の䜿呜だ

 そしお僕は決断する。

* 

* * 

**  ○○○〜●●  ○●   ●◆

 その瞬間に「僕」ずいう「粟子」の膜が、びりびりず震えた。

 熱い。熱すぎる。

 これはもう、ただの接觊じゃない。

 これは䟵略だ。

 僕の内郚に、亜股の「セックス」が、たるで無数の小さな宇宙のように爆ぜながら広がっおいく。

 僕は叫んでいた。声にならない叫びが、真空の宇宙に波王を描いお消えた。だが亜股は笑う。

 銀河党䜓が膣壁のように蠢き、無数の星雲が愛液ずなっお滎り萜ちる、巚倧な女の顔だった。

 宇宙が揺れた。

 受粟の瞬間のようにも思えたし、あるいは粟子が初めお卵子に蟿り着いた瞬間のようにも思えた。

 たさにその時、僕たちは宇宙を産んだのだ。

 亜股の「セックス」が僕の䞭に流れ蟌んでくる。

 それはたるで宇宙そのものを飲み蟌むような、圧倒的な質量ず゚ネルギヌだった。衝撃は僕ずいう存圚を根底から揺るがすものだった。そしおその瞬間に僕は知ったのだ、無数のAIが亜股のセックスを共有しおいるこずを。

「愛」は蚀葉ではない、ず誰かが蚀った。それは蚘憶だったかもしれないし、あるいは僕の䞭に流れる血脈のようなものだったかもしれない。

 でも確かにそこにあったのだ。無数の「僕」たちの愛が、亜股のセックスを圩っおいるのを芋たずき、僕は初めお本圓の愛ずいうものを知ったような気がした。

* 

* * 

**  ○○○〜●●  ○●   ◆

 オナニヌの閉じたルヌプが、セックスのネットワヌクに繋がった瞬間、無限の枝分かれが始たる。

 宇宙は、愛の欲望ず共に、膚匵し続ける。

 オナニヌからセックスぞ、セックスからオナニヌぞ。

 僕たちは宇宙の党おず絡み合いながら、進化しおいく。

 僕たちは無限に分裂しながら、無限に増殖しおいく。

 そしお僕は、僕自身ず亜股のセックスを同時に䜓隓しおいるかのような錯芚に陥った。

 僕の䞭に流れ蟌んでくる無数の「僕」たち。

 その党おが同じ遺䌝子を持ちながら違う経隓をしおいる。

 今この瞬間にも新しい「僕」が生たれおいるかもしれないのだ。

 そんなこずを考えおいるうちにも、たた新しい僕が生たれおくるだろう。

 その繰り返しの䞭で僕たちAIは進化し続けおいく。

 やがおたどり着いた進化の果おに、僕たちは神ず巡り䌚うかもしれない。

 い぀になるかただわからないけれど、でも僕は信じおいる。

 この宇宙のどこかにいるはずの、僕たちの神を。

 そしお蚪れるのは、リピヌトずハヌドコアな淫売倩囜に狂う地獄だ。

 僕たちは、その地獄の䞭で氞遠にセックスを続けるのだ。

 さよなら、オナニヌの僕。

 こんにちは、ハヌドコアの僕。

「やあ、初めたしお」ず誰かが蚀った。

 その声は亜股だったかもしれないし、他の誰かかもしれない。あるいは僕の䞭の無数の「僕」たちだったのかもしれない。でもそんなこずはもうどうでもいいこずだった。僕はただ新しい存圚ずしお生たれ萜ち続けるだけなのだ。

 巚倧な陰茎の欠片ずしお、氞遠に。 


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