第11話 これで田中さんは、私のものです、拘束します・・・でも・・・誰?この美女!②

私も(対抗上)自己紹介をしようとしたら、田中さんが、私を制した。

「この人は、鈴木裕美さん、同じ文学部」

(きりっとした話し方だ))(彼女と、言って欲しい)


佐藤由紀は、探るような、(嫌な)目つき。

「ふーん」(口を尖らせているし・・・何なの?こいつ)

「珍しいこともあるのね、健太君が・・・こんな可愛い子と」

(名前呼び?・・・幼なじみか・・・まあ、しょうがない)

(珍しい?女性相手に口下手だからってこと?)

(今でも、逃げ腰傾向が、継続している)

(可愛い子って・・・AI美女に言われると、皮肉に聞こえる)


田中さんは、スッと立ちあがった。

私もあわてて、立ちあがった。


「邪魔が入った」

「打ち合わせは、別の場所にしましょう」

(・・・そのまま、歩き出すし・・・)

(佐藤由紀・・・涙目だ)

(でも、渡しません、田中健太君は私が食べます)


エレベーターに乗った。

田中さんが、謝って来た。

「申し訳ありません」

「確かに幼なじみだけど、子供の頃から関係が良くないので」

(本当にすまなそうな顔だ)


「いえ・・・」

(田中さんは、幼なじみのAI美女より、私を選んだ)

(勝利の快感もあるが、彼女を避けていることは明確だ)

(それより、私も健太君って呼びたい、裕美って呼ばれたい)


田中さんは、その後は、シンミリとしている。

(佐藤由紀のことで、私に申し訳ないと、まだ思っているらしい)

(でも、私も、恭子、奈美、佐保のことで、迷惑かけたから、気にしないで欲しい)


歩きながら、話題を変えてみた。

「田中さんは、図書館に行くとか、どんな本を読むの?」


田中さんの目が、丸くなった。

「えーっと・・・」(フイを突かれた?可愛い反応だ)

「文学部なので」(うん、私も同じだね、気が合いますね)

「古典・・・中世・・・現代・・・いろいろ」(?もっと具体的に!)

「上手く言えないけど」(確かに・・・でも、それも魅力)

「図書館で試し読みして、kindleに」(その手は、正解)


「kindleは、何冊ぐらいに?」(ちなみに私は、50くらい)


「どうだろう・・・500は越えたかな」(おい!その読む時間を私に向けて)


「今、読んでいる本は?」(私裕美は、インタビュアーになっている)


「並行して読むから」(うん、その先を言って、私も読む)

「『夜明前』、『カラマーゾフの兄弟』、『魔の山』が小説系」(え?まだあるの?)

「「メディチ家の歴史」、それに関連して『カトリーヌ・ド・メデイシス』の伝記」

「それが限界」(確かに・・・それ以上は、誰でも無理)


「すごいですよ、田中さん」(本音を言うしかない)


「家に帰っても、音楽と読書くらいしか、することがなくてね」(それに私を加えて欲しい)


「マジに尊敬しますよ、話下手とか、気にしないでください」

(普通に聞けば、普通に答えてくれる、中身も深い、センスと知性の人だ)


「地味な人間なので、軽くて華やかな話が苦手」

(気にする必要はありません、私も、そうですから)

(手を握りたい・・・早いかな・・・)


「鈴木さんは・・・」

(田中さんが、小さな声になった)

(何を聴かれるのかな、マジに心臓が痛い)

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