明日の色を探して
おもち
明日の色を探して
何度か、打算で動いたことがある。
友達同士の仲を取り持つときも、
自分に都合よく風向きを変えたいときも、
目に見えない糸を編み、
小さなほころびが生まれないように
慎重に計画を立ててきた。
たいてい、それはうまくいく。
その瞬間だけは、
世界の裏側で筋書きを描く
シナリオライターになったような気さえする。
たくさんの絵具の中から色を選び、
軸になる色を濃くしたり、
白を混ぜて淡くしたり、
水で薄めて境目を溶かしたりしながら、
少しずつグラデーションをつくっていく。
そうして私は、
そのとき必要な“自分の色”を塗り重ねていくのだ。
けれど、あとで振り返ると気づく。
塗り重ねすぎた色は、
ときに元の自分を覆い隠し、
使いすぎた色の感情は
いつの間にか退色してしまう。
明日の私は、何色だろう。
どんな色をつくり、
どんな自分を描こうとするのだろうか。
明日の色を探して おもち @omochitto
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます