1-0-2
有史以前より魔法によって安定した生活を手に入れた人々は、早々に魔法を操る技術『魔術』を確立させた。
次々に新たな魔法を開発しては、環境に適応、生活圏を急速に拡大させ、今日の発展へと至った。
それから永い時を経て―――
世界は今、今後100年の覇権をめぐる、苛烈な魔術競争を繰り広げている。
魔石をはじめとした魔法資源の争奪を筆頭に、魔法関連産業の開発、それに伴う経済成長……
世界がめぐる速度は、日を追うごとに早くなっていく。
しかし、その基礎たる魔術は、今を生きるヒトの限界に達しようとしていた。
魔法とは『魔力を消費して、術者の想像を具現化する現象』である。
火が欲しいのであれば『燃え上がる火』を想像し、水が欲しければ『流れ行く水』を想像する。
その想像を魔力に込め、指先や杖や魔道具に流し込み空気中に放出すれば、想像が具現化するというのが、魔法の仕組みだとされている。
しかし、昨今の魔術は複雑さを極め、他人に共有することが、難しい段階にまで達していた。
仮に共有できたとしても、複数人が同じ効果を具現化させるには、長い修練が必要となる。
さらに魔法は複雑さを極めると、消費魔力が増大する事が知られている。
修練を簡略化するために使用される、魔法陣やルーン文字などの起用は、術者自らが明確な想像をしない分、必要な魔力は多くなる傾向がある。
また魔石採掘や魔石養殖などで魔石を生産し、魔力を補う方法が検討されているが、魔石一つが内包する魔力も、生産力にも限界がある。
難度と練度、消費と生産
魔術を支えるこれらのバランスは、間も無く限界に達しようとしていた……
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます