第2話

 どうして僕は、人間なのだろう。


 ベランダと庭の先客の他にも、家の中には飼っている動物がいる。

 尻尾をぶんぶん振ってよってくる愛犬、家の中に戻るだけで「おかえり!」と声をかけてくれるインコもいる。


 人間ではない動物は良い。

 人間と違って、目が穢れていない。

 綺麗で澄んだ瞳である。


 どうして僕は、穢れた汚い人間に生まれてしまったのだろうか。

 願わくは僕も人間ではない動物に生まれたかった。


 日に日に人間に嫌気がさしてきたそんな時、いつもと違う先客が庭にいた。

 本物を見るのは初めてで、僕は目を凝らす。


「キツネじゃん……! すごい!」


 思わず声が出た。

 キツネは病気を持っていることもあるらしいと聞くので、遠くから見る。

 キツネも僕に気付いたらしく、見つめてくれた。

 写真や動画で見るそれとは違い、色は真っ白で、そのせいか神々しかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る