06 よくある不遇なスキル授与 その6

 気付くと何処どこかの草原に捨てられてた。頭が痛いし、身体も倒れた時にぶつけたのか鈍痛がする。


(お腹が減ってきたし、動くのも辛いし……)


 段々と日が暮れて来て暗くなって来たし、村の外には夜は出ないようにってシスターからも口を酸っぱくして注意されてたからなぁ……ひょっとしなくても、此処ここに居たら、ヤヴァイ?


━━━━━━━━━━━━━━━


──寝床を創る僕──


 杖を突いて歩き出したのはいいけれど、お日様は既に沈み、夜がすぐ迫って来ていた……


「うわぁ……もうすぐ真っ暗になって右も左も分からなくなるよね……」


 現状でも街道がどっちにあるか分からなくて、適当に「こっち?」と思う方へ歩いてただけだから……


ウオォ〜ッ……


(う、あれって獣の遠吠え?……確かウルフとかいう肉食の……)


 草原でも森でも、ウルフに出逢わないようにってシスターに耳クラだったし……でも、声が聞こえるって事は……


(ヤヴァイかも?)


ザザッ……ザザッ……ザザッ……


 何か、周囲を囲むような足音が聞こえてきてるんですけど!?


(……あ、何か頭の中に……これは?)


「堅牢な岩の……シェルター? 「シェルター」が何なのか分からないけど。今の僕には必要な気がする。素材は……周囲の土でいいの? うん、分かった……」


 頭の中に語り掛けてくる誰か。それが何なのかは後で分かるんだけど、今は緊急事態だ……サポートされながらスキルを行使して……数分後には、ギリギリ間に合ったよ……


「個人用シェルター完成!」


 ……とは言っても、僕の周囲に直接作られたシェルターは僕自身を囲っていたので、特に中に入るまでもなく……疲れていた僕は、そのまま横になって寝た。草の布団付きの寝床は柔らかくて……少々青臭いのはご愛嬌。


「ふわぁ……お休み」


 お腹も減ってたんだけど、疲労困憊には勝てなかったので、そのまま深い眠りへと落ちていった、僕なのでした……


◆◇◆


〈……まさか、この世界の救世主として送り込んだ子をいきなり捨てるとは……神の下僕の風上にも風下にも置けない輩だったとはね……〉


 某天上の存在は怒りを顕にしていたが、まさか無差別に神罰を下す訳にもいかず……だからと言って、探す為に労力を使うのも馬鹿らしいと考える。


〈まぁいいでしょう……権力欲に囚われた愚か者のする事……遠くない未来に、きっと後悔する事になるでしょうよ……〉


 そして、声色と口調を変えてサポートしたメグの才能に驚きを隠さない天上の存在。


〈転生させた子だったけど、聡明さと素直さは変わらないのね……流石、私が選んだ魂の持ち主だけはあるわね〉


 前世では不運の連続で、穢れの無い故に他人に騙され易く、家族にすら奴隷の如く働かされ、最期は……


〈おっと、これ以上考えたら何処かに未曾有の災害が発生しちゃうわね……イケナイイケナイ……〉


 しかし……と首を捻る。


〈何で女の子になってんのかしら?……元は中年の男性だったわよね?〉


 男の子になると思ってたら、女の子になってたでゴザル!……と、思ったとか思わなかったとか(苦笑)


━━━━━━━━━━━━━━━

 どちらにせよ孤児院に捨てられたりと、余りいい人生ではないようで……不幸な生い立ちは中々覆せないようです(苦笑)

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