家庭内パパ活 〜 野外フェスから帰宅した麻里奈が浴室に入ると先にパパがいて 〜
多田島もとは
家庭内パパ活
「あー、いい湯だ……生き返る……」
日曜日の夕方、休日出勤を早めに切り上げて帰宅した俺は、自宅のバスルームで湯船に浸かりながら、肺から息をすべて吐き出すようにつぶやいた。
俺は誰にも邪魔されないこの時間が、一日で一番好きだ。
子供の頃から湯気の中で色んな想像を遊ばせてきた。
今でも仕事で行き詰まった時、湯の中で解決策が閃いたことなど何度でもある。
俺は一人きりのこの時間を何よりも大切にしている。
この家を建てるときも足を伸ばせるバスタブを第一希望にしたくらいだ。
愛する妻と結ばれ、娘にも恵まれた。
出世もしたし、郊外とはいえ都内にマイホームも手に入れた。
今が人生最良の時だ。
この幸せがいつまでも続いて欲しいと、両手ですくった湯を見つめながら幸せを噛み締めている、その時だった。
突然バスルームの扉が勢い良く開き、人影が飛び込んで来る。
──だ、誰だ!?
視界の端に捉えた長い金髪に向き直る頃には、シャワーが軽やかな水音を奏でていた。
──麻里奈!? 学校の先輩と野外フェス(?)に出かけると言っていたが、もう帰って来たのか!
「マ、マ、マ」俺が咄嗟のことに言葉を詰まらせながら状況整理をしていると、麻里奈は少し俺の方を向き屈託のない笑顔で話しかけてくる。
「ただいまパパ。汗かいちゃって、一緒にいいでしょ?」
──いやいやダメだろ! それ以前にバレたら絶対困ったことになる。
俺がリビングの様子を窺っていると、察したように麻里奈がニヤリと答える。
「ママ? 帰り遅くなるらしいよ? あ、今日もパパの背中流してあげるね!」
そうなのだ。麻里奈が浴室に乱入して来たのは今日が初めてのことではないし、こうなってしまったらリラックスタイムどころではないのも分かっている。
俺は諦めてバスタブから出ると、股間が反応していないことを確かめつつバスチェアに座る。
少し落ち着きを取り戻してから、俺は余裕ぶった声で麻里奈に問いかける。
「今度は何が欲しいんだ?」
「あのね、修学旅行までに最新のスマホに変えたいなーって。あ、クラスにこんな古いの使っている子いないんだからね。いいでしょ? パパ〜♡」
麻里奈は矢継ぎ早に捲し立てるが、最後には甘い声になっておねだりする。
「し、仕方がないな、次の休みに一緒に見に行くか(ハァ)」
「わーい、パパ大好き! それじゃあ今日は特別に、大サービスしてあげるね!」
麻里奈は大きな乳房を両手で揺らしながら言う。
何するつもりだ?
しかし何度見てもデカいな。こんなの巨乳もののAVくらいでしかお目にかかれないぞ。
「これでもクラスで3番目くらいだよ?」
俺の目線に気付いた麻里奈がそう言って胸を張る。
いやいや、そこ競うところじゃないんだが、これでも3位か。
最近のJKは発育がいいんだなぁ、なんて考えていると麻里奈が絡み付くように体を寄せてくる。
「しよっか♡」
俺は麻里奈を振り払うことができず、その日はいつもより長めのバスタイムになった。
◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆ ◇◆
風呂から出た俺と麻里奈は、脱衣所でお互いの体を拭きあい、余韻を楽しむようにいちゃついていたが、ふとリビングに人の気配がするのを感じた。
──しまった! 当然もう帰って来てるよな。まさか気づかれて……ないはずないかぁ。
「あ、ママ。おかえり〜」
後ろから聞こえてくる麻里奈の声を、怒気を滲ませた声が遮る。
「麻里奈、本当にアンタって子は!」
「ち、違うの! パパがとっても疲れてて」
「全部聞こえてましたよ。アンタそんなことで生徒さんに示しが付くと思ってるの?」
「ひっどーい! 今、それ関係ないよね?」
「お義母さん、と、東京観光どうでしたか? あ、ママもちょっと落ち着いて……」
やっぱりこうなったか。
久しぶりにお婆ちゃんとお出かけして、はしゃぎ疲れた亜里沙がソファーで寝息を立てている。
スヤスヤと眠る亜里沙の隣で、俺は壮絶な親子喧嘩をどうやって止めたら良いのか途方に暮れていた。
(了)
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