Web小説が大好きな勇者様は全てを消し去る雷と一緒に異世界を堪能します!

ちどりふで

第一章【第一召喚編】

1-1.召喚

7月。梅雨があけて夏に入って、気温も30℃を超えるようになってきた。あまりの暑さに少しうんざりながらも俺の気持ちは明るかった。


俺の名前は時雨しぐれ雄汰ゆうた。今年中1の花の男子中学生(友達談)。今は千葉県の京葉線沿いにある私立の中高一貫共学校にわざわざ神奈川の保土ヶ谷の辺りから通っている。選んだのは俺なのだが。もっと近い学校もあったがここを選んだ。なぜなら共学校だから。


期末考査が先週終わって今日はテストの返却日。テストの点数はきっと酷いだろうが、この3日を過ぎればパラダイスと考えれば親父の叱責など安いものだ。


答案返却が終わればそこから飛び石で1週間ほど休みがあって、5回くらい登校したらもう終業式がある。つまり、ここから3日が過ぎればもう夏休みに入ったも同然。


しかも勉強する必要がない。何故なら先生たちはまだ夏休みじゃないお陰で宿題が出せないからだ。私立ならではの謎システムだが今はそんなことどうでもいい。ありがたく受けようではないか。


そんな割とどうでもいいことを考えつつ、昇降口で靴を履き替え、教室に辿り着く。昇降口をくぐった辺りから既に冷気が俺の体を包んでいた。電気代を節約するためにエアコンを付けている時にはドアを閉めましょう、と先生たちは言うが、この時に限っては、それは間違っていると言いたくなる。


既に数人の生徒がいる教室に着いたら、自分の席に期末の問題冊子しか入っていない軽いリュックサックを置く。

今の時刻は7時56分。朝のS H Rショートホームルームが始まるのは8時25分。時間はまだ30分近くある。


その間何をしていようか、と考えていると上から影が差し込んだ。


「よう時雨」

「あ、おはよ、幸人ゆきと


クラスメイトのあずかり幸人ゆきとだった。5月あたりにあった校外学習の行動班が同じだったことで顔見知りになってそこから仲良くなった。顔も悪いわけではないが特にイケメンな訳では無い。俺の場合はむしろそこに親近感を覚える。俺もそこまで顔良くないしな。


そしてコイツとの仲でなくては語れないのがWeb小説である。ある程度校外学習で仲良くなったとは言え少しよそよそしい感じの距離感だったが、預が学年チャットで紹介ふきょうしていたWeb小説を読んでみたところドハマりし、それがきっかけで滅茶苦茶に仲良くなった。


コイツが好きなジャンルは異世界ファンタジーもの。曰く、『俺たちがいるような日常と絶対に交わらない所で、それまでのしがらみから解放されて、好き放題やっている主人公を見るのが楽しい』とのことだった。ようわからん。


「今日珍しく来んの早いじゃん」


「まあな。今日が終わったらパーリナイだから気合入っちゃってるんだよ」


「えー時雨は夏休み誰かと遊びに行ったりすんのー?」


「当たり前だろ、せっかくの夏やs」


「お前遊びに行ける友達いたんだ」


「ひどいな、泣くぞ」


「どーぞご自由にー」


「ひどいな、そうだそうだ、そう言えばコイツはこんなヤツなんだった」


これくらいの軽口は毎日のことだ。どちらも本気ではないということを分かった上での距離感だから気を使わずに済むのが楽で助かる。今日は割とまともな会話ができていr…


「で〜?時雨君は一体どの女の子と遊びに行きたがっているんですかね〜?」


フラグなんて立てるべきじゃなかった。出たよ、コイツの本性が。倒置法。


「そうだなぁ…」


遊びに行きたいやつ。俺は斜め前を見た。そこにいるのは友達と談笑する1人の少女。名前は艸楽さがらあかり。長めの黒髪を後ろで一つに束ねている。廊下を歩くだけでもそこにいるもの全てを惹きつけるクラスのマドンナだ。眉目秀麗、文武両道、才色兼備、これらの体現と言っても過言ではない。


男女を問わず誰に対してもフレンドリーながらもクールな印象を与える不思議な雰囲気の彼女。


お互いの親の仲が良かったから昔から顔見知りで、小学校低学年の頃はよく遊んだりもしていたが、中学に入ってからほとんど遊んでいない。


何度か一緒に遊びに行ったこともあるがその際にも話すことはできなかった。存外嫌われているのやも知れない、とか思って1人悲しくなったりする。


今は友達の黒須くろす白露はくろりん静香せいかと話している。


白露は黒髪ロングのポニーテールの女子で、度が低い丸眼鏡をかけている。それと常にマスクをしている。だがマスクを取った素顔はかなりの美人だ。


身長はおよそ148cm。もう少しで149cmになるだろうが一向に伸びそうにない。クラスの女子では身長が一番小さいが男子にはもっと低いやつもいる。成長はまだ止まらないと信じておこう。


結構Sっ気が強い女子で、クラスの男子が無礼なことをするとすねの辺りを蹴る。今となっては日常茶飯事である。


静香は中国人と日本人のハーフで、名前の「静香」も中国人女性の名前の「静香ジェンシャン」と重ねられるようになっているらしい。らしい、というのは俺が全く中国語わからないから。


こちらも桑田と同じく眼鏡とマスクで黒髪ポニテをしている女子だ。身長はおよそ149cm。


桑田によく身長マウントを取っているがすぐに優しく蹴られている(ちなみに男子がやると5発くらいこっぴどく蹴られる)。


そしてその後身長160cmくらいの灯に頭を撫でられている。もはや様式美ですらある。ダチョウ倶○部のクルリンパみたいな感じ。ただ、白露に蹴られてよく変な声を出してるので結構Mなのかもしれない。


意外と相性が良いのか、静香はよく預と仲良くしている。というかすんごい懐いてる。犬の尻尾がぶんぶん振られてるのが見えるレベル。だからその2人でそのうち付き合うかも知れないな、とも思っている。まあまだ中1だからそういうことは遠いかもしれないが。


「おぉっとぉ?しぐれさ〜ん?ひょっとして某S楽エスがらさんに見惚れているのではありませんかぁ〜?」


そう言えばこいつと話しているんだった。忘れてた。


「んなわけあるかよ」


「あ、そうか時雨君は黒須さんにご執心でしたね」


「そういうお前は誰と遊びに行くんだ?」


「スルーすんなよ。俺?遊びに行くなら木村とかかなぁ」


「男かよ」


つまらない男だ。俺が言えんけど。


「よーっす、しぐしぐにユキトン」


新谷しんたにおはよう」


「お、新谷じゃん、おはよ」


やってきたのは新谷しんたに友大ともひろ出席番号順デフォルトの席が隣だったから、最初に喋って、最初に仲良くなった。見た目は度の低い丸メガネをつけた茶髪のサラサラヘアー。


口を開かなければかなりのイケメンなのだが、コイツが口を開いたら下ネタかセクハラか、若しくはいきなり大声で歌い始めるか。最初はまともな話をしていても最後までまともな話をしていることは30%くらい。


せっかくのいい顔が台無しだ。そこのギャップに虜になる女子がいるからこれまた困りものなのだが。


「相変わらず新谷さぁ、お前来るのおせえよ」


「いやーこれだけはどうしても治せんわなー」


時計を見ると既に8時20分を回っていた。


「お前らそろそろ席戻ったほうがいいぞ」


「もう20分か」


「りょーかーい」


「あ、時雨、英語の点数低かった方がコーヒー1本奢りだからな」


「分かってるよ」


2人はそれぞれの席に帰った。


教室の前のドアから担任の渋谷先生と副担任の大嶋先生が入ってくる。


渋谷先生は本名渋谷しぶやはやと。御歳46歳の男性。担当科目は生物だが、とても優しい声で授業をするため、大半の生徒が寝る。それなのに何故か頭には入っているのが不思議だ。ちなみに生物部の顧問。


イギリスで長年教鞭を執っていたらしく、優しい英国紳士を体現したような方だ。ほとんど怒らないが、内職をしていたとある生徒が廊下に呼び出されて怒られたらしく、その時ですらもニコニコしていたらしい。そこがまた恐ろしいのだが。


大嶋先生は本名大竹おおたけ沙良さら。こちらは今年で62歳になる大ベテランの女性教師。担当科目は英語で、この人のお陰でうちのクラスの英語の成績は学年でも上位に食い込んでいる。太っt…もとい、恰幅の良い体型で、廊下で見かけた時もすぐに分かるのが特徴だ。


10年以上この学校で勤務しているらしく、行事やら何やらに詳しい。因みに、授業で出した【サマンサ】というキャラがうちのクラスでは大ウケし、生徒からのあだ名は「サマンサ」に固定されている。渋谷先生のあだ名は「渋T」。安直。


日直が前に出て、SHRが始まった。出席確認と先生たちからの連絡を済ませ、すぐにSHRが終わる、と思った。遅刻扱いされていた木村がドアを通った。








―その瞬間、俺たちの教室はまばゆい光に包まれた。






―――――――――――――――――――――――――

こんにちは!作者の ちどりふで です!

初めての作品になるので文章が拙い所がありますが見守ってくださると嬉しいです!

誤字などはコメント欄で教えていただければ訂正します。

他にも感想などがあればコメント欄に書いてください。★とフォローもぜひよろしくお願いします!


本作の地の文は基本的に時雨くんの一人称視点です。1章の主要キャラは最初に出た男女3人ずつの6人なのでそこだけ覚えておけば何とかなります。渋谷先生と大竹先生と木村くんは現状モブです。そのうち活躍させる予定。


次回、「増え鬼の鬼って楽しいよね」。ぜひ読んでください。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る