集結

あの仇討ちしたい人のための集い?

みたいなのに参加を申し込んでから、3日後。

一昨日メールで集合場所を教えられた。



そして今、まさにその場所へ来ている。

叔母の家からは少し遠い場所で、山間部のほう。

少し山道を行くとすぐに見えた。


「わ……」


この16年間一度も現実で見た事がない程、大きな屋敷だった。

2階建で、ずらりと横に長い。

学校の校舎みたいに長い。

でも、見た目はおしゃれで、玄関や庭、至る所にランプが付いている。

あまりの迫力に、立ちつくしていると、


「何か困ってる?」


後ろから声をかけられた。

その声に振り向くと、そこには私と同い年くらいに見える女の人が立っていた。

長い黒髪を、ハーフアップにしている。

背丈は、150後半くらいかな。

私より少し高く見える。

服は、白いシャツに、チェックのロングスカート、さらにはカーデガン。

(とてもおしゃれな人なんだろうな。)

(私普通にキュロットパンツに白シャツ、フード付きの黒い防水上着できちゃったよ。)


「こんな豪邸初めてみたので……」


色々と考えながらそう答えると、彼女は微笑んで言う。


「そっかそっか!私もこんな豪邸初めてみたよ。びっくりするよね!まあ、とりあえず中に入らない?」


そう言うと、彼女は玄関の方へと歩いていく。

(一息で言う言葉の情報量が多い!)

少し、たじろぎつつ、私もついていった。


「ガチャ」


見開きの大きくて重いドアを片方開けると、中には洋風のお城のような家具たちがずらりと並んでいた。

(すごい。あれ……靴はどうするの?)


「靴、履いたままで良いんだよ」


彼女がまた声をかけてくれる。


「そうなんだ……」


知らなかったことを少し恥じらいつつ、見つけた案内板に沿って歩く。


「この部屋みたいだね」


「うん」


静かに戸を開けると、そこには6、7人くらい人がいた。

みな、大きなテーブルを囲むようにして立っている。


「これで全員揃ったね」


1人だけ座っていた男が静かに言う。

歳はどのくらいなんだろう。

分からないや。


「さあ、始めよう」


ごくりと唾を飲む。

緊張感がえげつない。


「さて、これから君たちには仇討ちを成してもらう」


「その為には、今ここにいる仲間を傷つける以外、どんな事をしても良い」


(どんなこと……も?)


「リタイアは受け付けない。絶対に」



「良い?」


皆それぞれに返事をする。


「それじゃあ、右回りで自己紹介してもらおうか」


まず最初に自己紹介をしたのは、私のお父さんと同じ歳くらいの男の人だった。


笠木かさぎ じんです。41歳。娘を殺されました」


笠木さんは淡々と、手慣れたように自己紹介をした。

次に自己紹介をしたのは、その隣に居た私と同い年くらいに見える男子。


「俺は、美津坂みつざか 蒼真そうま。16。姉ちゃんが事故で死んだ」


やっぱり同い年。

少しぶっきらぼうなところが、本当に同い年なんだなと思わせてくる。

次に自己紹介したのは、その隣にいた蒼真君より年下らしき女の子。


「うちは、美津坂みつざか 藍奈あおな13。にいと同じだよ」


どうやら、この子は蒼真君の妹のようだ。

次は……彼女だ。

ここまで一緒にきた女子。


「私は、夕凪ゆうなぎ あかり。18。父が自殺した原因を探っています」


父親……

って次、私か…


御戸崎おとざき 優香ゆうかです。16歳。妹と叔母が事故で亡くなりました」


そして、また次にまわる。


江道こうみち那月なつきです。30歳。夫が殺されました」


物静かで、美しい女性だ。

江道さん…ちょっと気になる。


瓦剌蕋わらしべ雷人らいと。24。彼女が自殺した」


すごい名前……

偽名かなってレベルだ。


「どうも。久坂部くさかべ みつるです。20。家庭を壊した宗教を調べています」


この人で最後か。


「さて、最後に私だね」


「私のことは、顕山と呼んでほしい。それではよろしく」



「必ず皆で、仇討ちを成し遂げよう」






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仇討ち記 読解秋夢 @11222

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