第2話 君と話を

俺は少し服を着崩し女に近づく


(さぁ、どうなるか)




結果的に言えば、惨敗した。

女に服を裸させ近づいたら、女は怪訝な顔をして二メートルくらい離れていった


なんともいえぬ感情が心を支配する。

女というものは、男に言い寄られれば、ほとんどすぐに本能に従い襲ってくるものだ。


だが……

失敗したことによる恥ずかしさ、屈辱感。

そして何より、女が俺に怪訝な顔をしたその驚き……


――その感覚に、俺は思わず言葉を失った。


感じたことのない、恥ずかしさで死にそうだ。


女にこんなにも怪訝な顔をされ離れられるとは初めてだった、俺がいつも笑えばそれだけで女どもはいつも群がってきた


それは気持ち悪いほどに


(それなのに目の前にいる女は…なぜ?)

俺は女を少し気になり始めていた


沈黙が続く。

俺は、何を話せばいいのか、わからなかった。


「……あ、あの……お前、名前なんて言うんだ?」

女に、名前を聞くなど、結婚を迫られてもおかしくないほどの気持ちの昂ぶりを、俺は自覚していた。


それでも、目の前の女の名前が気になって、思わず口にしてしまった。


「…?リズ」

一言女はそう言った。

相変わらず、動かず、表情もほとんど変わらない。


リズと名乗る女を見つめながら、ふと外に目をやると、あたりはもう夕暮れ色に染まっていた。

窓越しに差し込む橙色の光が、部屋の静けさをより際立たせる。

リズは相変わらず動かず、ただじっとそこにいるだけ。

俺の心には、何とも言えぬ不思議な感覚が広がっていった。


チラチラとリズを見ていると、ふと目に入ったのはその服。

ボロボロで汚れが目立ち、ひどく擦り切れている。


「…風呂入ってこいよ」

さらっと言った言葉だがこれは普通の女に言えばまず襲われるような言葉なのを思い出し口を閉じる


だが見れば見るほど汚れてるため仕方なく女ことリズをお風呂場を教えタオルを渡した


リズは意外にも素直に風呂場へ向かい、黙って消えていった。


俺はその間に、部屋の掃除や壊れたドアの修理を手配することにした。

世話係を呼び出し、

「ドアを壊してしまったのは、不注意でした」とだけ伝える。

リズのことは一切伏せたまま、事実を少し都合よく言い換えた。


ついでに、新しい服を何着か持ってきてもらう。

世話係が去った後、俺はリズが戻るのを静かに待った。


しばらくして


(なんでだよ…)


髪の毛がびしょびしょでポタポタ垂れているリズを見て、ライはドライヤーを手渡した。

だが、リズはどうやって使えばいいのか、まったくわかっていないようで、困ったようにそれを見つめていた。


はぁ…」

仕方なく、ライはリズの髪にドライヤーをかけた。

この世界なら、普通の女は男に触れられれば発情したり、婚約を迫ったり、襲ってくるのが定番だ。

しかしリズは、ただ大人しく乾かされているだけだった。


(…女なのに、なぜ…?

男の俺を前にして、何を考えているのか全くわからない…)



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