ミステリー短編とはこうあるべきだ、という姿に今作はまさに当てはまっている。短い物語の中でどれだけ読者に、おっ!?と思わせられるか。それが短い物語の中で2度もあるので、短編とは思われない満足度がある。特にこの物語で良い働きをしているのは、冒頭に登場する吟遊詩人。彼がいなくても物語としては成立するのだが、この吟遊詩人がいることで良い調味料となっている。あえて登場させた作者の考えに脱帽。5分ほどで読み終わり、5分で楽しませてくれるのでおすすめです!
導入から結末まで、吟遊詩人が見聞きした一つの恐ろしい寓話の流れになっています。全ては彼女の思惑通り。物語が人を惹きつけることを知っている彼女の思惑通りに動きます。場面展開もまさに吟遊詩人の語る物語のごとく、パートの入れ替わりが分かりやすく、怒涛の展開です。朗読で聞いてみたくなる作品です。
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