天秤の担い手

木原 無二

第1話

辺りを見渡すと、そこは神殿のような形をした内装をしています。


言うなれば、中世ギリシャといった感じでしょうか?見たことないけど。


「……左様でございます。皆さまがこの世界にいらした理由は、私共も存じ上げません。 ですが、どうかご安心を。 神々よりお言葉を賜り、皆さまをお迎えする準備を整えさせていただきました。」


僕の名前は無常仮寝。

高校3年生

年は18。

好きな食べ物はハンバーガーとカニカマ。

嫌いな食べ物はタルタルソースとアボカド。


異世界転移


ある日、作中に出てくるキャラ達がいきなり異世界に転移する拉致られるのが異世界転移だ。そして、今の状況である。

もう一度いうが転移だ。転生ではない。


しかも、なろう系小説ならではのクラス転移だ。


高校名は銀林ぎんばやし高校。

男子20名、女子19名、総勢39名のクラスメイト。


「さて、皆さまには既に“スキル”なる力が授けられているはずです。 まずは水晶を用いて、その力を鑑定させていただきたく存じます。」


どうやら、これから僕達のスキルを調べるらしい。


あの水晶で調べるんだとか。


「あのー、すみませんが、僕達はもうすでに自分のスキルについて把握しているので大丈夫なんですが…」


彼は委員長の加茂川。クラスのまとめ役だよ。


ちなみに、あの女性は第三王女のシャーロット。

もっと長かったけど、流石にゴッホ並みに長かったから、シャーロット王女と呼ぶように言われた。


「いえ、私達が把握するためです。皆さまをご支援するためでもありますが、この国では貴族だろうと平民だろうと関係なく、スキルと魔法の属性の把握をしております。それが、この国の法です。」


どうやら、法で決まっているようです。拒否権は無いようですね。


クラスメイト達がざわついていますが、クラスメイトの陽キャグループの1人、アキラが不満そうな人達をなだめているようです。


ちなみに彼は加茂川のような真面目タイプとは違います。

確か、誰かを虐めていたはずです。


「勿論、皆さまの力がバレたくないという気持ちはわかります。ですので、個室での個人個人の検査とさせていただきます。それに、スキル以外にも魔法属性も判明します。」


検査は個人でやるようです。

公開処刑は無いようです。

あと、魔法属性もわかるようです。


「それでは皆さま。私はこれから個室を用意致しますので、以後は、そこの近衛のジムがこの城の案内とこの世界について説明します。……では、のちほど。」


どうやらシャーロット王女はここで案内を終え、あそこの茶髪で細目の男性ジムがこの城の案内をするそうです。


「ジム・フィンレーと申します。 ここからはシャーロット第三王女殿下に代わり、わたくしが皆様にこの城、及びこの世界についての説明を行います。 どうぞよろしくお願いいたします。」


彼の名前は正確にはジムフィンレーというらしいです。


「では、私が先導いたします。皆様、ついてきてください。


「我が国は『ルークエイト王国』。中央諸国の一角を担う国でございます。 建国より450年……その歴史と伝統を誇る由緒正しき地です。


「初代国王、シルバーナ王がこの地を開墾して作り上げたと記録が…」


色々とジムフィンレーが説明してくれています。

ここの国名はルークエイトというらしく、初代国王の名前はシルバーナというらしいです。女性っぽいですね?もしかして本当に女性でしょうか?


窓の外、見えますか?月が2つ浮かんでいます。

完全に異世界です。

もしかしてドッキリなのではないかという希望も消えました。

女子もその事がわかったせいか、泣いている子もいます。


「……皆様のいた世界がどのような場所であったか、私には想像も及びません。 ですが、ご安心ください。 皆様がこちらでの生活を不自由なく過ごせるよう、我々が責任を持って支援する手筈を整えております。」


実は既に先ほど、帰る方法を聞いた人がいましたが、「wからない」という返答を貰いました。


彼らは私達が来るという事だけ聞いて、呼んではいないそうです。


「では、これからこの世界で生きていく上で、皆様の先生となる方々を紹介したいと思います。」


教室らしい場所に入りました。先生を紹介するそうです。ちなみに、転移した人の中には先生が2人います。偶々教室にいたせいです。合計、42人です。


「右端から順番に4人の先生を紹介したいと思います。地理学及び民俗学担当のアーバン教授、宗教学担当のローリン教授、魔法学及びスキル学担当のアオリラ教授。そして、王立騎士団、騎士団長のヘンリー・レックスです。」


右から地理学及び民俗学担当のアーバン教授、宗教学担当のローリン教授、魔法学及びスキル学担当のアオリラ教授。そして、王立騎士団、騎士団長のヘンリーレックスとの事です。


最後だけ異色すぎないですか?筋肉やばいです。あれの腕、僕の腕よりも分厚いですよ?


「アーバンだ。皆さんにはこの世界の事を地理的に教えていこうと思う。よろしく。」

「ローリンです。皆様にはこの世界の神話、宗教について教えていこうと思います。皆様と仲良くやっていけたらと思います。」

「アオリラだ。魔法及び、スキルの使いかたについて教えていこうと思う。」

「ヘンリーレックスだ!!!切磋琢磨、皆と頑張って良ければと思っている!!!!以上!!!!」


圧がヤバいです。

最後だけなんか方向性が違います。


「本日は、皆さまとの顔合わせのためにお呼びしました。疲れている方もおられるでしょう。詳しい授業に関しては、明日からとさせていただく予定になっています。」


詳しい説明は明日からするそうです。

今日は顔合わせらしいです。


「先ほど、シャーロット第三王女殿下の付き人から準備が終わったとの報告を受けました。それでは、皆さまを儀式場までご案内します。」


どうやら、これから僕達のスキルと魔法属性を判定するそうです。


一旦、


右手の動きを止めて、手首を回す。

ブラインドタイピングは得意な方だが、片手というのは流石に疲れた。


さりげなく視線を右に向けると、そこには透けている大きなボードがあった。

それは、自分に付き添うように付いてきている。


『これ、釣り?』

『いや、ここまでくればマジでしょ』

『不謹慎だろ』

『息子を返してください。お願いします。お金はいくらでも払います。お願いします。』

『これ何?』


ボードには、誰かが書いたであろうコメントが書かれてあった。

そう、これは配信画面だ。


(あー打ち込むのだりぃ…)

これじゃあいつ腱鞘炎になるかわからない。嫌なんだよな、こんな世界だし医療がどうなっているかわからないし。


ふと、先ほどの言葉を思い出した。


“……皆様のいた世界がどのような場所であったか、私には想像も及びません。 ですが、ご安心ください。 皆様がこちらでの生活を不自由なく過ごせるよう、我々が責任を持って支援する手筈を整えております。”


(帰れない、か…)


悲観は後で出来る。

なら、今は生きよう。


足を一歩、前に出した。







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天秤の担い手 木原 無二 @bomb444

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