現代世界に神は亡く - クロックワーク・エッジ -

国語って何ですか?

第零話 上空一万二千メートルの殺戮事件

―――日本より遥か上空、高度一万二千メートルの空をボーイング国際線

ジェーピー四二一便が飛行している。

機内は静けさに包まれており、声どころか物音一つも鳴っていない。

理由は複雑で、とっても簡単な話


「動くな!」

「動くんじゃねぇ!!」


と、寸分の狂いも無く、同時に二人のハイジャック犯が声を上げたからだ。

一人だけなら悲鳴に包まれていただろう、飛行機における防衛手段が皆無である銃火器をハイジャック犯達は携えているのだから。

だが、ここにいるのは二人。


つまり、天文学的に考えても珍し過ぎるハイジャック事件が発生したことに、

乗客乗員百二十七名は驚愕し過ぎているのだ。

その場に居る誰しもが例外ではないからか、唯丸い目で見据えることしか出来ない。


「お、おい女!撃たれたいのか!」

「黙れハイジャック、その脳天は試し撃ちの的か?」


ハイジャック犯としか見えない長く淡い金髪の少女は、もう一人のハイジャック犯の男の脳天に銃口を向ける。

男も負けじと震える手で自身の持つ小型拳銃をハイジャック犯の少女に向け、

奇跡的に出会った犯人たちが互いに睨み合っている謎状況が発生したのだ。


―――数時間後 アメリカ、ロサンゼル空港。


窓の外ではアメリカの警察車両が飛行機を包囲しており、サイレンの音にも負けないほどの轟音を立てて飛行機の緊急脱出用ハッチが開く。

そこから現れたのは、気絶した青年を担いだ、長い金髪の血塗れ少女だ。




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