第5話 黒魔術と白魔術

 新見は黒魔術について調べていた。

 「黒魔術」という言葉は、呪い、悪魔との契約、呪殺など、他者に害を加えたり、非倫理的な目的を持つとされる魔術の総称として使われます。

 ​具体的な「黒魔術」として言及される例は、地域や文化、またフィクション作品によって様々ですが、いくつかの例を挙げるなら以下のようになります。

 ​📜 一般的に知られる「黒魔術」の例

 ​呪殺・呪詛の魔術:

​ 蝋人形(ブードゥー人形など)を用いた呪い: ターゲットに見立てた人形に釘を刺すなどして、苦痛を与えたり病気にさせたりするとされるもの。

​犬神の呪法: 動物の霊を利用して人を呪い殺すとされる日本の呪術。

​ ネクロマンシー(降霊術・死霊術): 死者の魂を呼び出し、未来を尋ねたり、意のままに操ったりする魔術。

 愛憎に関する魔術:

​ 媚薬(惚れ薬): 特定の人物を強制的に惹きつける目的で使われる薬や呪文。

​ 愛の呪文/別離の魔術: 誰かと誰かの仲を裂く目的や、望まぬ愛を強いる目的で使われるもの。

 悪魔学に基づく魔術:

​ 悪魔召喚: 悪魔を呼び出し、願いを叶えるために魂を差し出すなどの契約を結ぶ行為。

​黒ミサ: 既存の宗教(キリスト教など)の儀式を冒涜的な形で模倣し、悪魔崇拝を行う儀式。

 その他の魔術:

​ 幻惑魔法・変身魔法: 相手を欺く、あるいは自分自身や他人を別の姿に変えるもの。

​🇮🇩 インドネシアに見られる黒魔術の例(サンテットなど)

​ インドネシアなど、地域によっては特有の呼び方を持つ黒魔術が存在します。

​ Santet(サンテット): 遠隔地から病気や死をもたらすとされる黒魔術。

​ Guna-guna(グナグナ)/ Pelet(プレット): 恋愛や誘惑に関する魔術。

​ Sihir Pemisah(分断の魔術): 人間関係を壊すための魔術。

​ これらはあくまで「黒魔術」として語られてきた伝承や概念の例であり、その存在や効果は科学的に証明されているものではありません。

​ 特定の文化圏の黒魔術について詳しく知りたいなど、ご興味があれば、さらにお調べすることもできます。


 チャッピーに言った。「さらにお願い」


 承知いたしました。「黒魔術」という広範なテーマについて、さらに歴史的・文化的な観点から掘り下げてご紹介します。

​ 

 🌍 歴史的な魔術書に見る「黒魔術」

​ 中世から近世にかけてヨーロッパで記された魔術書(グリモワール)には、後に黒魔術と見なされるようになった知識や儀式が記録されています。

​ 

 1. ネクロマンシー(死霊術)の系統

​死者の魂を呼び出して利用する魔術は、最も古くからある黒魔術のイメージの一つです。

​ 目的: 過去や未来の知識を得る、隠された財宝の場所を聞き出す、死者を操って使役する。

​方法: 墓地での儀式、死者の身体の一部(骨など)の使用、特定の呪文と供物。

 2. ソロモン王の鍵(Key of Solomon)

​ この系統のグリモワールには、天使や悪魔を召喚し、支配下に置くための複雑な儀式が記されています。

​ 大いなる鍵(Great Key of Solomon): 主に精霊の召喚と使役に関するもので、本来は白魔術的な利用も可能でしたが、悪魔を扱う部分は黒魔術と見なされました。

​ レメゲトン(Lesser Key of Solomon): 特に有名なのはゴエティアと呼ばれる部分で、72柱の悪魔の性質、召喚方法、そして彼らを支配下に置くための印(シジル)が詳細に記されています。

 3. 呪詛書(Curses and Maleficia)

​特定の個人に対して災厄をもたらすための儀式やレシピを記したものです。

​ 方法:

​ 鉛のタブレット(Defixio): ローマ時代などに見られるもので、相手の名前を刻み込み、地下や水に沈めることで呪いをかける。

​ 病気や不運を引き起こすポーション: 有毒な動植物の成分を混ぜ合わせ、対象者に与えるか、その家や土地に撒く。

​ 

🌙 儀式と象徴に見る「黒魔術」

​「黒魔術」のイメージは、しばしば既存の倫理観や宗教観に反する儀式を伴います。

​ 逆転と冒涜(Inversion and Blasphemy):

​ キリスト教の聖餐式や祈祷文を逆に行ったり、聖具を汚したりする行為は、悪魔への忠誠を示すものとされました(例:黒ミサ)。

​ 五芒星(ペンタグラム)を逆さまにして使用する図形(逆五芒星)は、悪魔の頭や山羊の頭(バフォメット)を象徴するものとして使われます。

 動物の生贄:

​ 強力な悪魔や精霊を召喚し、その力を得るために、黒い動物(黒猫、雄鶏など)を生贄に捧げる儀式が伝承されています。

 

 ​現代における解釈

​ 現代のオカルト文化では、魔術は「意図の行使」として捉えられ、黒魔術(Black Magic)は「他者の自由意志を侵害する目的を持つ魔術」や「私利私欲のために害をなす魔術」と広く解釈されています。

​ 例えば、相手を病気にすることだけでなく、本人の意思に反して恋愛関係を強要する魔術なども黒魔術に含まれることがあります。

​ 何か特定の地域や時代、または儀式についてさらに詳しくお知りになりたいことがあれば、遠慮なくお申し付けください。


 新見はさらに白魔術についても調べた。


 🌿 白魔術の具体的な例

​ 白魔術として分類されることが多い実践や儀式には、以下のようなものがあります。

​ 1. 癒し(ヒーリング)と健康の魔術

​病気や怪我の治癒: 薬草や特定の石(パワーストーン)、祈りを用いて、身体的・精神的な苦痛からの回復を助ける。

​ 精神の安定: 不安や恐怖を取り除くための鎮静の呪文や儀式。

​ 解毒・解呪: 黒魔術によってかけられた呪いや毒を打ち消し、元の健康な状態に戻すための儀式(エクソシズムもこれに含まれることがある)。

 2. 保護(プロテクション)と浄化の魔術

​ 結界・守護の呪文: 自身、家族、家、または特定の空間を邪悪なエネルギーや悪意ある存在から守るためのシールド(結界)を作り出す。

​ 清浄化(クレンジング): セージなどのハーブを焚く(スマッジング)ことや、塩、水、音などを用いて、場所や物からネガティブなエネルギーを取り除く。

 3. 豊穣と繁栄の魔術

​ 豊作・豊漁の祈祷: 農業や漁業が成功するように神々や自然の精霊に恵みを請う儀式(雨乞いなども含む)。

 ​金運・仕事運の上昇: 努力に見合った公正な報酬や機会を得るための儀式。ただし、他人のものを奪う目的は黒魔術と見なされます。

 4. 愛と調和の魔術

​ 友情・人間関係の改善: 争いを和らげ、周囲との調和を深めるための儀式。

​ 自己肯定感の向上: 術者自身の魅力や自信を高めるための魔術。

 💡 白魔術の実践に関する注意点

​ 魔術を扱う人々の中には、白魔術を行う上での倫理的な原則として、しばしば以下のことを重視します。

​「三倍返しの法則(The Rule of Three)」:

​ 自身が行った魔術(善悪にかかわらず)は、いずれ三倍になって自分に返ってくる、という考え方。これにより、黒魔術を避け、善行を行うよう動機づけられます。

「害をなすな(Harm None)」:

​ 他者に害を及ぼす魔術は決して行ってはならない、という原則。

​ 白魔術は、自己の成長や周囲への貢献を目的として、古代から世界各地のシャーマンや呪術医、神官などによって実践されてきた側面を持っています。

​白魔術における特定の儀式や道具(ハーブ、ルーン文字、タロットなど)について、さらに掘り下げた情報が必要でしたら、お知らせください。

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