破滅の星からの守護者

Aya

廃教会の朝

これは追憶と哀悼の記憶――――


朝が来る。僕はいつも時刻通り起きる。

妹のリナは違う。毎朝少し早起きしたり寝坊したり…。


この違いは当たり前だ。僕は「レイ」。

「R-07型」というのが本当の正式名称なのだが、

妹は「レイ」か「お兄ちゃん」と呼ぶ。


そう。僕はこの星の知的生命体では無い。

もっと正直に言えば「銀河連邦本星セントラリス」からの逃亡者であり生物兵器だ。


…リナが起きた。


「おはよう。お兄ちゃん。相変わらず同じくらいに起きるのが得意なんだね。」

「…まあ、このくらいしか特技は無いからね。」


怖がらせたくない。僕は今、「ヒト型」の形を成していない。

本星で言うところの「レッサーパンダ」のような外見の二足歩行を象っている。

この星の住人に合わせた姿形を取っている。


日課は晴れている日には布団代わりの干し草を干すことから始まる。

そして、これは雨の日でも雪の日でも変わらない労働。麦畑の手伝いと牛の搾乳。

この手伝いをしてようやく食べ物にありつける。

七日に一度は教会でお祈りする。

みんなその日はお休みで心を<神様>に傾けてる。


…ここの人たちは技術は未熟だけど本星では信じられないくらい穏やかだ。


僕はそんな日常を壊したくない。だから自分の出自も明かさない。

でもリナは何か気がついている。


―――僕が最初にリナに発見されたときは<ヒト型>だったから。


リナと僕の出会いは僕の記録が正しければ一年前。

リナは推定9歳だっただろう。


本星で<浄化命令>を拒否した。そしたら<処分>が決定した。

だけど、とある研究員の一人が僕を助けてくれた。


そしてこの「ノヴァ・テルス」と僕が名付けた星にたどり着いた。

リナは初めこそ僕の姿に驚いたものの、僕がこの星の住人の姿になったら純粋に「お兄ちゃん!すごい!」って喜んでくれた。


…だから、僕はこの星が好きだ…。

<神様>、僕はあなたを知りません。

だけど、どうかこの日々が続きますように…。


―――だが、その祈りは、すでに届かない場所へ向かっていた。

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2025年12月13日 09:00

破滅の星からの守護者 Aya @draem_aya777

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