概要
名前を口にしたら最期。
残業帰りの深夜、
僕はマンションのエレベーター前で、
貼り紙に書かれた“ひとつの名前”を
読んでしまった。
『“さきえさん”が乗ってきます』
ただそれだけの文。
なのに胸の奥が、ありえないほど冷えた。
エレベーターは僕の指示を
無視して地下へ沈みつづけ、
存在しないはずの階──B13──で止まる。
扉の向こうにいたのは、
息を潜めて“待っていた”女。
首の角度は、人が立つためのそれではない。
そして、僕にだけ聞こえる声で囁いた。
「ねぇ……あなた、
私の名前、読んだよね?」
深夜のエレベーターは、
“名を呼んだ者”を迎えにくる。
呼んだ瞬間、もう引き返せない。
僕はマンションのエレベーター前で、
貼り紙に書かれた“ひとつの名前”を
読んでしまった。
『“さきえさん”が乗ってきます』
ただそれだけの文。
なのに胸の奥が、ありえないほど冷えた。
エレベーターは僕の指示を
無視して地下へ沈みつづけ、
存在しないはずの階──B13──で止まる。
扉の向こうにいたのは、
息を潜めて“待っていた”女。
首の角度は、人が立つためのそれではない。
そして、僕にだけ聞こえる声で囁いた。
「ねぇ……あなた、
私の名前、読んだよね?」
深夜のエレベーターは、
“名を呼んだ者”を迎えにくる。
呼んだ瞬間、もう引き返せない。