自我

@omuro1

第1話

僕には主体性がない。


自我が芽生えたのは30歳を過ぎてからだと思っている。

もしかしたら、35歳を過ぎていたかもしれない。


今でも気を抜くと、時間が勝手に進んでいる。

みんなは違うのだろうか。

僕のいつもは、ずっとこうだった。


ひとつの仕事を任されるようになってから、その感覚はさらに顕著になった。

以前より頭を使う業務。

パソコンに向かい、図面をいじり、構造物の設計をする。

頭の奥が熱を持ち、ふわっとした満足感だけが残る。


だが、その満足の影で、一日の短さに命の危険のような焦りを覚えるようになった。

この仕事を辞めるべきか、と考えるところまで来ている。


人は何のために生きるのか。


「そんな問いは中学生までだ」、そう言ってた人がいた。

この問いを忘れた大人は、どうやって日々を過ごしているのだろう。


生きることに理由が必要だとは思わない。

生きることに理由など無いのだから。

だから、生きる意味を考える。


今日もまた、気がつけば日が暮れている。

この流れに呑まれないように、ようやく生まれた自我を守らなければならない。


そして、考える。

僕は何のために生きるのか。

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