第4話 変身なんてごめんです

「ぎゃああああーーっ!!」

私たちは、2人でマンションの20階から落ちていた。

道路が下に見えて、内臓が浮く感覚がする。ジェットコースターなんかの比ではない。


「助けて!」

私は叫ぶが、ミルク2はすました顔だ。

「どうです、まだ死にたいですか?」

「死にたく、ない! 助けてえええっ!」

隕石が落ちてくるイメトレは毎日していたが、こんな形で死ぬのは、聞いてない。


「では、右手を上げて叫ぶのです! ネガティブ・コンバート!」

絶体絶命の状況で、私には他に選択肢がなかった。

落ちながらも右手を上に上げ、力の限り、その言葉を叫ぶ。

「ネ、ネガティブ・コンバートオオオっ!」


その瞬間、光が私の身体を包み込みーー重力が、身体に戻った。

つぶった目をおそるおそる開けると、

「浮い、てる……⁈」

私とミルク2は、地上から上空3メートルほどのところで、ふわふわと空いていた。


「やったね、楓ちゃん! これで君も魔法少女だ!」

言われて、身体を見回す。

ひらひらしたピンク色のスカート、服にいくつもついた赤いリボン。

そして、右手の中にある、おもちゃ売り場にありそうな、ファンシーな羽根のついたステッキ。

ミルク2の首にも同様のひらひらしたピンクのフリルがついていて、真ん中には赤い石が埋め込まれていた。


ネガティブで引きこもりの私は、脅されて魔法少女になってしまったのだった。

「こんなの、嫌だああーっ!!」

布団からでさえ、一歩も出たくないのに。

私は浮きながら叫ぶが、ミルク2は微笑むような表情で言った。

「一緒に、世界の敵に立ち向かおう!」


こうして私は、強制的に魔法少女になり、世界の敵と戦うことになったのである。


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