第7話 久しぶりに『人』と邂逅する俺
ギラッとした光が俺に当たって。
眩しいと感じて目を覚ましたら。
宝箱の器の部分と蓋の部分に隙間ができていて。
そこから――
――ギョルンとした目が俺に向けられていた。
ヒェッ⁉
あ、焦った……!
まさか蓋が開けられるなんて思ってもみなかったから……。
こんなとこにやってくる奴なんていないって思い込んでたから……っ。
いきなりやって来られたら、そりゃ驚くって……!
長いこと放置されて完全に気が抜けてた。
思わず情けない悲鳴を上げちまうところだったよ。
……俺、口ないから悲鳴が出なかっただけだけど。
そんなことより念願の来客だ!
いったいどんな子なんだ⁉ と期待に胸を膨らませる。
俺は猛烈にドキドキしていた!
「……罠ではなさそうね」
聞こえてきた声。
宝箱の器と蓋の間にある大きな目の方角から。
その目の持ち主が発したものと思われる。
けど……んん?
女性の口調ではあった……あったのだけど……?
なんて考えていたら――
バンッ!
と、蓋が全開に。
んな……っ⁉
俺は固まった。
「身体が」じゃなくて「思考が」(身体はもともと動かせないし)。
俺の目に飛び込んできた
――奥まっているが、大きな目
――しっかりしている頬骨
――高い鼻筋と角張った鼻
――彫りの深い顔立ち
――分厚い唇とピアスだらけの耳
――長い睫毛
――ない眉毛と髪の毛
――焼け切った黒い肌
――太い首と広すぎる肩幅
――隆起しすぎている上腕二頭筋と前腕伸筋群
――立派な胸筋
――六つどころか八つに割れた腹筋
――引き締まりすぎのおしり
――パンパンの太ももとふくらはぎ
――ごつすぎる手足
バケモノ⁉
全容を見た時、真っ先にそう思った。
〔※主人公の認識です。差別を推奨するものではありません〕
そんな奴が、全身を覆えるほどの長さの黒いマント(今は前をはだけさせている)と黒のブーメランパンツ型の水着だけを着て、俺の前に立っていた。
しかもその水着は、腰の部分を無理やり引っ張って肩で留めるようにして穿いていて……っ。
股間のナニがもっこり主張――
やべぇ! 変態だ! 変態が現れたぁあああ!
何、この状況⁉
どうなってんの⁉
やっと誰か来てくれたと思ったら、それがこの……うん、めっちゃ個性的な人って……⁉
うわ、生まれ変わってから初めて会う『人』記念すべき第一号なのに、接しづれぇ……!
……とはいえ、『人』は『人』なはずだ!
むちゃくちゃ久しぶり(俺の感覚で)に人に会ったから何か話したい!
言葉はわかるみたいだから対話を試みてみよう!
よし、話すぞ!
「――」
……あっ。
俺、しゃべれねぇんだったわ……。
……ま、まあ? 人恋しさはあったけど? この人とどうしても話したいってわけじゃなかったし?
むしろヤバそうな人物と関わらなくて済んでよかったまである。
次の機会までに話せるようになってれば――ん? 次?
ちょっと待て!
次っていつだ⁉
結構待って、やっとこの人が現れたっていうのに……!
この人に持ってってもらえないと俺、景品扱い続行でまた長いこと俺を持ってってくれる子のことをここで待たないといけなくなるってこと⁉
そ、それは嫌だ!
なんとかして持ち出してもらわないと……!
たとえ街の店で売られることになったとしても、ここよりはマシなはずだ!
うぉおおお! 持ってってくれぇ!
……ダメだ!
口がないから伝えられねぇ!
ここに来たのはザ・漢の中の漢って感じの人……。
不要と判断されてそのまま置いて行かれかねない……!
ここ、死ぬほど退屈なんだよ!
頼む、持ってってくれぇ……!
念を送っていたら(実際には送れていない)、その人が動き出した。
って――は? 何してるんだ、こいつ……?
いきなり着てる服を脱ぎだしたんだが⁉
い、一応調べてみる。
〖詳細求ム(以下略)〗発動!
┌──────────────────────────────────┐
《ステータスウィンドウ(ターゲットA)》
├──────────────────────────────────┤
アニキロス・オネェデス
レベル:49/100
性別:男
年齢:18
種族:人族
クラス:魔法使い
パーティ:
T・206 C・130 W・85 H・110
ステータス:
HP :784/3920(限界値8000)
MP : 15/ 735(限界値1500)
STR:343(限界値700)
INT: 98(限界値200)
VIT:294(限界値600)
MND:245(限界値500)
AGI:215(限界値440)
DEX: 53(限界値110)
スキル:
【タフガイ】
――一日に一度だけHPが0になる攻撃を受けてもHP1で耐える/
その時状態異常を回復しAGIが一定時間3倍になる
【オールブレイク】
――敵を魅了状態にできない/
その代わりに敵のSTR・INT・VIT・MND・AGI・DEXを半減する
装備:
武器:
防具:
妖艶のマント
――攻撃時、低確率で魅了状態付与
魅惑のスリングショット
――AGI+10%/DEX+10%/魅了耐性アップ
└──────────────────────────────────┘
……ですよねー。
思った通り男だった。
……じゃあなんで脱いでんだよ⁉
っていうか、名前ひでぇな⁉
アニキロス・オネェデス――18歳⁉
俺より年下なの⁉
で、魔法使い、と――魔法使いっ⁉
その筋肉で⁉
あ、いや、魔法がある世界だから見た目で判断するべきじゃないよな――魔法使いに必要そうなステータス(
明らかに接近戦闘寄り(
肉体派なのは見た目通りなのかよ⁉
スキルも魔法使い向きじゃねぇし!
てか、魔法使いって言うんだったらワンドとかロッドくらい持ったら⁉
なんで魔法使いで徒手空拳してるの、この人⁉
今すぐ魔法使いやめろ!
……ダメだ。
ツッコみどころが多すぎる……。
魅了特化にしてるのも謎だし……。
もうネタキャラじゃん……。
なんて思ってる間に――
――目の前の変態はすっぽんぽんに。
いや、ちょっと、おい、待て……!
まさか、だよな⁉
そんなことしねぇよな⁉
だって俺、『ビキニアーマー』だし!
女の子用の装備だし……!
必死に祈る。
そんな俺に、変態の手は伸ばされた――。
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転生したらビキニアーマーだった俺 日夜 棲家 @Hiyo-Sumika
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