最強の第3皇子に転生したので悪の限りを尽くす

ライセル

最後の我慢

俺は我慢が嫌いな性格だと自負している。


我慢をして「良かった」と思った試しがないからだ。


我慢を美徳としている奴がたまにいるが、我慢しなくていい人生なら我慢しない方がいいだろう?


我慢をしないと自制が効かなくなる、なんて言うのもよく聞くが、それはそいつが自制をしなければいけないような地位、資産、容姿しかないからだ。


こんなこと言っている俺も地位や資産はないんだが・・・・・。


まあ、それは誰しもが思うことだ。


もっと地位があれば・・・・・


もっと資産があれば・・・・・


もっと容姿がよければ・・・・・


人は何かしらを我慢して生きてるってことだ。


俺という一人称も、社会じゃ使えないよな?自分で会社を起こして社長になれば使えるかもしれないが、九割の人間は使わない。全員、「私」という一人称を強制されているみたいなものだ。


朝早く起きたくない、という人も多いだろう。夜は遅くまで起きていたいし、朝は目覚ましで起こされるのではなく、自然と目覚めて二度寝が要らないくらい寝たい。


満員電車で毎日毎日通勤しているのも苦痛だ。本当は車で送迎してほしい。なんなら相手にこっちに満員電車で来てほしい。最終的には仕事なんてせずに、好きなことして生きていたい。


食事だって、本当は今はこれが食べたい気分なのに作るのは大変だし、買っても思ってた味と違う。そんな気分になることも多い。


隣においしそうな霜降り牛があるが、節約のため二つ隣の安売りパックだ。なんなら牛なんてここ最近は食べていない。鳥、鳥、鳥だ。豚だって高い。


我慢というのはこれらすべてを指すと俺は思っている。他にも人によって様々あるだろう。嫌いな奴と働かないといけない。やりたくない仕事をしなければいけない。別に話したくない話題でも話を合わせないといけない。


こういう事を話していると、「自分で会社を作ればいいじゃん」とかいってくる馬鹿がいる。そんなことは分かっている。ただ、今よりも大変になって死ぬように仕事をする未来が待っている。


「いやいや、楽に稼げる仕事もあるし、今時はAIに任せられるんだよ?」


だまれ。お前の話を聞くのは苦痛だ。なんでこいつはしゃべりかけてくるんだ。ああ、ヤってしまいたい。こいつをサクッとヤってしまいたい。


こんな感情を抱かせたこいつを、俺は生かしていかなければいけないのか。


これも我慢である。


ああ、我慢我慢。俺が我慢をしなくなったらすぐに捕まってしまう。


我慢をしないと自制が効かなくなるというのは合っていると思う。俺は今の現状や地位、資産を把握するのは得意な方だと思っている。


なるべく我慢をしないように生きている。少しお金がたまったのでお金をつかうようにしたり、やりたくないと思った事はしない。ただ仕事などでやらなければいけないような事は我慢してやる。


割と挑戦はしているほうだ。ただ少しでもやりたくないと思った時にはもうやめている。


とにかく我慢が嫌いだ。


我慢していると感じるとすごいストレスを感じる。我慢しなければいけない状態。我慢している状態。どんどんと我慢が連鎖していく気持ちになってくるんだ。


こんな時考える。


’我慢しなくていいというのはどうすればいいのだろう’と。


お金がたくさんあればいいのか?


否、お金だけあっても法律はやぶれず我慢しなければいけない。


では、法律も搔い潜れるような地位があればいいのか?


否、地位があっても大衆の目があり、安全を我慢しなければいけない。


では、国のトップに立てばいいのか?


否、国のトップは国の今後を示したり、国のために我慢しなければいけない。


やはり、地位、資産とあと一つ何か必要だな・・・・


やはり、強さ。


強ささえあれば他の物はいらないとさえいえる。


圧倒的なまでの強さ。突き抜けた強さ。神のような強さが必要だ。


喧嘩は負けない。


刺されても効かない。


銃で撃たれても無傷。


大砲を素手でつかむ。


核を撃たれても、効かず汚染すらされない。


そういう、魔法みたいな強さがほしいな。


そんなことを考えていた、記憶が俺の前世最後の記憶だ。


**************************************




俺は今、柔らかい布団の上に寝かされている。


どうやら俺は転生をしたらしい。


体がうまく動かせず、起き上がれない。


まわりを見渡すと檻のような枠に囲まれていて、その隙間からは豪華絢爛な部屋が見える。その家具すべてが大きい。大きく見えるというのが正しいか。なので俺は赤ん坊なのだろう。


気付いたらこの状態だったので、生まれてからどのくらいたったかなどは分からない。


そして俺が転生だと確信したのは、試しによくあるステータスだと思ってみた時だ。


――『ステータス表示』


名前 グリーライド=ノプトアプズ・ヴァリエス

年齢 0歳

レベル 1

筋力 (STR) E

耐久力 (VIT) E

敏捷性 (AGI) E

魔力 (MAG) E

知力 (INT) A

精神力 (MND) EX+


スキル : なし

大罪スキル : 強欲、傲慢

称号 : 転生者 、大罪所有者


――


赤ん坊だからか筋力などはEだな。Eが一番下という認識であっているだろう。 知力と精神力は高そうだな。特に精神力がEX+になっている。とにかく高いということで良さそうだ。


我慢があまりできないタイプだから精神力は低い気がするが・・・


スキルは無いようだが大罪スキルというのがあるな。これはどんな、ちからがあるんだ?


意識を集中してみても特にポップアップがでることもない。


はあ、鑑定スキルくらい、転生特典で付与しておけよ。俺を転生させた奴がいるかは分からないが。転生して前世よりみじめに生きることになったらどうする。


などと考えていた俺はステータスをみて驚愕する。


――


名前 グリーライド=ノプトアプズ・ヴァリエス

年齢 0歳

レベル 1 筋力 (STR) E

耐久力 (VIT) E

敏捷性 (AGI) E

魔力 (MAG) D

知力 (INT) A

精神力 (MND) EX+


スキル : 鑑定

大罪スキル : 強欲、傲慢

称号 : 転生者 、大罪所有者


――


なんと鑑定スキルが付与されているではないか!!


もし俺を転生させた奴が付与したのだとしたら俺の心を聞いてることになるな・・・ここはありがとうと言っておく。ありがとうございます。どうせなら魔力もEX+とかにしてくれた方が良かったのですがどうでしょうか?


ステータスを凝視していたが魔力がEXになることはなかった。それはできないってことか。できないのか付与してくれなかったのかルールがあるのかは分からないが少しケチということが分かったな。


気を取り直して、早速鑑定スキルで大罪スキルを見ていこう。




強欲:望んだスキルを得ることができる。




え???!!!!!?????!!!!?????


これ言ってることあってる???? 強すぎるのでは???


あと鑑定スキルを付与したのは、神とかいふ、いつも助けないで見てるだけのやつと違って強欲スキル様だった。


ちょっと望んでみるか!魔力を増やすスキルがほしい!


――


名前 グリーライド=ノプトアプズ・ヴァリエス

年齢 0歳

レベル 1

筋力 (STR) E

耐久力 (VIT) E

敏捷性 (AGI) E

魔力 (MAG) D

知力 (INT) A

精神力 (MND) EX+


スキル : 鑑定、魔力増加

大罪スキル : 強欲、傲慢

称号 : 転生者 、大罪所有者


――


す、すごすぎる。初めから大罪スキルがある理由は分からないが、とにかく最高のスタートをきれそうだ。どんどん思いつくスキルを欲してみよう!


どんなスキルがいいかな。まずは魔力関係でいくか魔力操作とかか?付与された!


よし、じゃあ魔力を操作しよう。


ん?魔力ってどうやって感知するんだ?自分の魔力が感じられない。普通なら瞑想とか、精神統一したりして、魔力を感じられるようにがんばるのだろうが、俺には強欲スキルがある。魔力感知がほしい!


お〜これが魔力か自分のなかに薄っすら感じるぞ。なんか黒い?魔力が黒い感じがするな。見えないから黒いだけか。感じられるけど見えない。


魔力視が欲しいな。


お〜見えた見えた。なんか部屋に青いのがふわふわ浮いてるな。 物には青いのが纏わりついてるというか薄っすら膜があるみたいな感じだな。


で、俺の魔力は黒いな。なぜ?


この魔力って鑑定できるのか?


魔力:万物に宿るエネルギー。


うん。たいした情報はないな。


普通は青で俺は黒ってことか?魔力視がないと見えないし別にいいか。


これで魔法を使ってみるか。ここで火とか水を選ぶやつの気が知れないね。ここは光とか出した方が安全だし、証拠も残らない。


・・・これって我慢か?本当は炎を打ちたいが後々の安全を考えて光にしているのか?あーこう考えだしたらイライラしてきた。ばれないようばれないよう、こそこそ生きていくのか?転生したのに?


打っちまえ。大丈夫俺には強欲がある。何とでもなるだろ。


いくぜ!


俺は我慢なんてしねえぞおおおおおおおおおお


全力ファイアーボール!!!!!!!!


瞬間俺の黒い魔力が手にあつまり、黒い火の玉が壁に激突した。


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