機竜戦騎Dragon&Dragoon 〜序盤で倒される悪役に転生したが、主人公達が弱すぎる!?〜
兵庫人
第1話
この世界ではカードゲームの実力が最も重要視されている。
その理由は、この世界の人間は大体十歳くらいになると自分の魂から数枚のカードを呼び出せるようになり、カードを使うことで異世界からモンスターを召喚したり魔法のような力を発揮できるからだ。
モンスターを召喚している間、召喚した人間は例え銃で撃たれたり他の人間が召喚したモンスターに攻撃されても無傷で、そのことから元々はカードの力に慣れるためであったモンスター同士の戦闘訓練が、今では手軽にスリルを楽しめるカードゲームとなって世界中で熱狂されるようになるのは当然の流れであった。加えて言えばカードの力で召喚されるモンスターや魔法の力は、娯楽だけでなく普段の生活から軍事目的まで様々な分野で使われているため、カードゲームの実力が世界で最も重要視されるのも当然の流れと言えた。
カードゲームが単なる娯楽でなく国の軍事力にも影響を与える重大な要素であるこの世界では、世界中の国々がカードゲームの学校を作って実力のあるカードゲームのプレイヤーを育てることに力を注いでいた。そしてそんなカードゲームの学校の一つ、「極東国」で最高峰とされる「召龍学園」に一人の少年が入学しようとしていた。
□■
召龍学園の新入生入学式。召龍学園の講堂に集まっている今年入学する新入生の中の一人、
こうして立っているだけで栄人の耳に周りの話し声が聞こえてくる。
「おい、アイツがそうなのか?」「ああ……。十数年ぶりに発見された新しい『シリーズ』のモンスターを使っているらしいぜ」「一体どんなモンスターなのかな?」「新しいシリーズのモンスターを使っているってことは『ゲート』とか『ゲートカード』の管理者の関係者ってこと?」「いやいや……? ゲートカードなんてあるわけないだろ? そんなの都市伝説だって」
周りから聞こえてくる話し声はそのほとんどが自分に関する噂話であり、それを嫌でも聞かされている栄人は居心地の悪い思いをしていた。
(なんだか目立っているな? ……やっぱりこの数年間で色々とやったのが原因か?)
周囲の視線に晒されながら栄人は、数年前に「前世」の記憶が蘇ってから自分がしてきた行動を思い出しながら心の中で呟く。
(それにしても俺がこの学園に入学するだなんて……。本当はここには入学したくなかったのに、一体どうしてこうなったんだか……)
心の中で呟いた栄人は内心でため息を吐くと、自分の前にいる一人の男子生徒に視線を向ける。
(悪いけど俺はこの歳で二回も死ぬのは嫌だし、今回の人生での生活もある。これからここで起きる事件はよろしく頼むぜ、『主人公』さん?)
と、心の中で呟く栄人であったのだが数日後……。
「……あ、アレ? 主人公……いや、主人公だけでなくメインキャラ全員弱すぎない? これから学園で大きな事件が起きるのに、こんなんでどうするんだよ……?」
栄人は顔を青くして大量の冷や汗を流しながら一人呟くことになるのであった。
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