サンタと猫の秘密

織田珠々菜

第一話

コーヒーの優しい香りに甘い香りが混じり漂う。

カフェのBGMからは、外国の女性が歌うジングルベルが流れてくる。


「今年も、もうこんな時期か……」


年々、子供達が成長するにつれてクリスマスの意識も

さほど敏感ではなくなってくる。


子供が幼かった頃は、サンタさんからの手紙などを

わざわざ外国から届くように依頼したりしたものだ。


ツリーを一緒に飾り、子供達にはツリーの下に

サンタさんへ、お願いするプレゼントを手紙にして

置いておくように言ったりした。


子供達も、学校へ行くようになり段々と、

”サンタさんは、本当にいるのか?”という疑問が出てくる。

恐らく、兄弟がいる同級生からの入れ知恵であろう。


親は、子供の夢を壊したくない思いから

本当ではない、エピソードを話してしまう。


「サンタさんは、どうやって手紙を読みに来てくれるの?」

「サンタさんは、良い子か悪い子かどうしてわかるの?」


なんて質問が出てくる。


私が、必死に思いついた答えはこうだ。


「うちにいる、楓(ペットの猫)くんが

 サンタさんに教えているんだよ」


「え?楓が?」


「そうだよ。楓はサンタさんのお手伝いをしているんだよ。

野良猫も、みんなサンタさんのお手伝いをしていて、

子供達の様子をコッソリ見てるんだよ。」


「だから、猫の集会があるの?」

「そうだよ」


とっさに考えた内容にしては、我ながら出来た話である。


また、こんな話もある。


「ねぇ、サンタさん一人でプレゼント配るなんて一晩では

無理なんじゃない?」


「まぁねぇ。でも、サンタさんもハイテクでドローン使ってるかもよ」


「え!?」


「ドローンで一斉に配ってたら楽勝じゃん?」


「そっか~」


そして、クリスマスが終わると


「良い子にしてないと、サンタさんからプレゼントもらえないよ!」

という言葉が、子供達には通用しなくなる。


しかし、なんとかして良い子で居てもら方法として考えたのが


「ブラックサンタが来て、プレゼント奪われるからね」


何という事だ、サンタさんの夢を壊したくなかったハズが

サンタさんを利用してしまう親心。


こんなだから、大人にはサンタが来ないのかもしれない。

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サンタと猫の秘密 織田珠々菜 @suzuna_oda

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