踊れや踊れ、
@katakurayuuki
短編小説 踊れや踊れ、
「やーーれんそーーらんそーーらんそーーらんそーーらんほんほい」
「あんたがったどっこさ、ひっごさひっごどっこさ。くまもっとさ」
「きーーーみーーーがーーあーーーよーーおーーーわーーーーーー」
男達は歌いながら踊っていた。この荒れ果てた地で一心不乱に歌い踊り休んでまた歌い踊っていた。
時は20XX年人類が大きな過ちをしてから俺は一人なんとかサバイブしていたが、もうそろそろダメかと思ったところで彼と出会ったのだ。
彼はジョニーと言った。底抜けに明るかった。そんなところに助けられもしたが、今は困惑している。
「ジョニー、もうあきらめようぜ。そこで歌っても何も出てこないぜ。」
俺たちが会えたのは幸運だった。でも同じ問題を抱えていた。水だ。
そこで二人で何か解決できないかと手持ちのものを見渡したら幸か不幸か、焦げた地図に井戸らしきものが書かれてあり、さらにSONGと書かれてあったのだ。
何があるのかはわからない。ただ、向かう先がないからとりあえず地図に書いてあることをやってみようということになったのだ。
彼はそこから早かった。すぐさまかすかな情報から井戸を探し当てると歌いだしたのだ。
「ゆうじ、君は他に歌をしらないかい?そろそろネタ切れになっちまうよ」
「知るもんかよ。知ってるのを足してみたらどうだ。オリジナルの歌になるんじゃないか?。」
俺たちはそれから街へ探索しに行っては夜になると井戸の周りで歌い明かす日々が続いた。
井戸を拠点に活動してみると、周りの街には子守歌や讃美歌や労働歌など様々な歌があった。
それらを集めては夜になると男二人で井戸の周りで歌ったのだ。
次第に歌うのだけでは飽きてしまい、踊るようになってきた。
気づいたら他の人たちも集まりだし、音楽を奏でるやつまで現れた。
もう俺たちはなんでこんなことをするのかを忘れたが、週末になると街の真ん中にある井戸に集まり歌い、踊り、食べ、笑いあう。そんな生活をするようになった。
そんな時、見知らぬ女性がひょっこりと出てきた。新顔だろうか?
「外が賑やかそうだから出てきたけれど、何かの祭り?もう外って大丈夫なの?」
言ってることはわからないが、歌い、踊り、笑いあう俺は彼女にこう言った。
「外が大丈夫かだって?そんなのわからないさ!でも歌って踊って笑いあう友がいるぜ」
彼女は取りあえず納得したらしく、少し経ったら一緒に踊りだした。
そうさ、世の中どうになるかわからなかわからないが、友がいる。笑いあえる仲間がいる。取りあえずそれでいいじゃないか。
そうやってその日も楽しく祭りは終わったのだった。
踊れや踊れ、 @katakurayuuki
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