これが噂の初デート…

ネコガネ・コ・ロンダ

第1話 待ち合わせ

今日は、人生初のデート。

正確には、『両思いになって初のデート』だけど。


好きな人と休日に、2人で会う。

2人で会うって言っても、毎日同じ部屋で過ごしてるけど。それはノーカウントだよね。


どうしよう、緊張する。

待ち合わせってこんなに緊張するものなんだ。


普通のカップルは凄いなー。出かける度に待ち合わせなんて、服装変じゃないかなとか、メイク上手くできてるかなとか、不安しかない。


あれ、あたしってこんな性格だったっけ。


ハルちゃんに言ったら

「恋する乙女ですね!」

とか言いそう。容易に想像できるわー。


そんな考えとは裏腹に、

空はからっと晴れて日差しが気持ち良い。

雲ひとつすら無い。

かえって緊張する。


今のうちに話題デッキでも考えていようかな。

そんなことを考えながらふと時計を見た。


時刻は8時15分。待ち合わせ予定は9時だ。


準備を手伝ってくれるっていうから、ハルちゃんと一緒に準備したけど、案外早く終わってしまった。


まずい、早く来すぎたかも。

残り45分、何しよう。

シュウくん、早く来るか…?


5分後、シュウは現れた。


「すまない、待ったか?」

走ってきたのか、少し息が荒い。

「早くない!?全然待ってないけど…!でもなんで!?」

驚いて大きな声を出してしまった。

「…朝起きたら藍野がいなくて焦った。」

遅刻したとでも思ったのだろうか。

申し訳なさそうに顔をしかめている。

「あ、当たり前でしょ?!待ち合わせなのに同じ時に同じ部屋から出たら意味ないじゃん!!それに、ハルちゃんと準備してただけだし、そんなに慌てなくても良かったのに…」


なんだか悪いことをしてしまったなぁと、

少し落ち込んでしまう。


「…それにしても、藍野もかなり早くないか?」

シュウの問いかけに気付かされる。

「あ、確かに。それもそうね…。」


そういえばそうだ。人のことを言えないじゃないか。あたしってば、何やってんだか。

さっきまで早く来て欲しいなー、なんて思ってたのに。いざ本人が目の前にいると、なんだか焦って、変なことを口走ってしまう。


この調子では失敗してしまうかもしれない。


楽しみにしていた今日のデートも、

上手くいくか、不安だ。

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