第7話

「白玉って、言葉が、なにか神々しい」


「ん?」


ふと思ったことを考えもせず言っていた。


「シラタマの~、って、雅な感じ?」


彼は、笑った。


ふふ。


張っていた糸のようなものが、ゆるんでく。


ふにゃふにゃ~。


ゆるんでくゆるんでいくよ。


さっき抹茶アイスを食べていたときには、向こう岸の建物のうえで凍りついていたと思った心象が。


ふと、あたたかい陽光に包まれているのを感じた。


「ほら、白玉だよ~?」


私が、ぼーっとしているものだから、かわりばんこに食べていたパフェも、彼が、ひとりで食べていた。


「食べる~」


彼が、笑ってる。


もちもちした触感が、たのしい。


「もちもち~」


うれしくて、彼の頬を、つつく。


さっきまで、内心、とじこめていた、はしゃぎたいきもちや、なんか泣きたいきもちが、溢れてくる。


女神さまが、笑っているね。


キラキラとキラキラと、水面は、ただキラキラと。


「ねぇ、」


彼のこと見つめて、もっと見つめて、瞳の奥の、しっかりした光に吸い寄せられるようにして、


「ありがと」


「ん、どーいたしまして」




<了>

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「白玉だんご」 ぽふ、 @a-piece-of-harmony

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