第2話

桃の節句が、ちかいから、桃が咲いてるかと思って見に行った。


そしたら、それは、桃ではなくて、梅の木だった。


ずっと、それは桃の木だと勘違いして、すごしてきたのだったのだ。


「それは梅だよ」


と、おしえてくれたのは、彼で、その花の、どのあたりが梅で、桃ではないということなのか説明してくれたけど、よくわからなかった。


「へぇー・・・・・・」


答えたのはいいけれど、ちっともわかっていなかった。


あ。


みどりいろした鳥たちが、こっちを見てる。


「こわいよー」


いつものように、眼鏡のうえから掌でガードして、それでも、隙間から、覗いたりして。


梅にウグイス。


ふと、花札の、鳥の絵をした札のこと、思い出した。


ほかに、イノシシも、いた。


いえ、ここにはいないけど。花札に、いた。


町から、すこし登ったところの、いわゆる山に、来ているのだった。


「この山に、イノシシは、いないから大丈夫」


私の、表情を、どう読んだら、そう答えられるのか、わからないくらいに的確な。


つきあいはじめてから、そんなに長くないのに、なんだろう、この感じ。


ふしぎー。

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