第2話
結論から言えば、その日の空戦は成功裏に終わった。
港の飛行場から飛び立った迎撃機は二十五機。対する敵機は四十機。
悪いことに、かつての場と違ってここは傭兵の集まりで、協調性というものがあまりない。休日明けで集まりが悪い上、ほとんどが思い思いに突っ込んでしまって、大乱戦になった。
付いてきた三機を落として、気が付いた。
重戦闘機も混ざっている。最新機に乗った新人が、これ見よがしにぶっ放した重機を、平然と受け流しては機銃で撃ち落としている。
「何をやってんだ」
機を反転させた。双発単座のタイプ・イレブン。旧式だが、頑丈な機体に強力なエンジン、重武装で、機動性が多少悪い以外に欠点らしいものはない。
対してこちらはさらに旧式、時代遅れの機関銃が四門、勝るのは機動力のみ。
気づいた敵機が、こちらに鼻先を向けた。上昇しながら機銃弾の雨が放たれる。機首四門、双発エンジン中央一門に上部二門ずつ、計十門の非常識な火力が、横っ飛びした真横をかすめていった。
正対からすれ違いざまに急旋回、くるりと機首を回し、今度は追いすがる形になる。大概、こうくれば敵機は機速を上げて引き離すなりするのだが、あろうことがその場で旋回を始めた。
そうすればどうしても……速度は落ちる。
スロットルを開ける。旋回が終わる頃には僅かに上方、衝突を厭わぬ角度で正面、機銃の発射レバーを引いた。
目掛ける先のコクピットが炎上する。時代遅れの機関銃だが、新型弾薬のおかげだ。こうして防弾ガラスだけはなんとか抜けるようになった。
まだ敵機は残っている。爆砕の破片を横目に見つつ、再びスロットルを開けた。
かつて大戦が終わろうとしていた時、そこに第三の勢力が現れた。
奴らは夜に現れる。戦闘機で空を飛び、戦災の癒えぬ世界各地に甚大な被害を与えた。
実態なく、死も確認できず、搭乗機をハチの巣にしようと、不気味なことにそれでも向かってくる。有効法は、コクピットの炎上、焼却のみ。
それから十年。倒しても倒しても沸いてくる連中のことを、人々は
空の傭兵 猫町大五 @zack0913
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