ある男の告白
密(ひそか)
第1話
専門学校時代の男友だちと数年振りに会った。
その男は、専門学校時代に記憶力だけは優秀だと語り、優秀な成績を収め、当時、誰もが羨むゲーム業界のある会社の内定を頂いた。
居酒屋でご飯を食べながら、まだ自分はペーペーでいろいろとお仕事も大変で、という男友だちの雑談話を聞いていた。
男友だちは、男友だちの会社の同期は数名いたが、その中のある女の子の話をした。
男友だちは、女の子の名前もスタイルも気に入っていた。その女の子の仮の名前を「英知ちゃん(仮)」としよう。
彼の話によれば、英知ちゃん(仮)は同期の女の子の中で、いつも一人にされていた。
あまりにも可哀想なので、男友だちがよく声をかけていたという。
英知ちゃん(仮)は絶対音感というものを持っていた。当時、彼女の仕事は曲を作ることであったので、パソコンに向かってキーボードを叩いて、大きなイヤホンで音の確認をして終わりという一連の流れを男友だちは見ていたという。
彼女とは席が近かったので、男友だちはいろいろと話しかけたという。
ある日、会社の研修合宿があった。話の内容からして、会社の社員が数名、何処かへ泊まって交流を深めるというものであった。
その合宿中、男友だちは一人で部屋の中で電気を消して布団に潜って寝ていた。部屋には数名いたが、自分を残して、後は街へ繰り出していったといっていた。
部屋の中で一人、布団に籠ってウトウトとしていると、襖を開ける音がした。誰かが戻ってきたのかなと思ったという。そのまま、その影は男友だちの布団に潜り込み、気がついたら男友だちのパンツを脱がしていった。
男友だちがビックリして、布団をめくろうとすると、侵入者が自分の身体を使い、男友だちの下半身を侵略してきたという。男友だちがいうには、「これは誘っているな」ということで、侵略し返したという。
結局、翌日の朝方まで、二人のせめぎ合いは続いたという。途中で外出から帰ってきた同部屋の人たちがいたが、彼らは中の様子を悟ったので部屋の中に入って来ることはなかったという。
ちなみに、この体験は決して夢ではなく、相手は間違いなく女性であるとはいっていたが、この子が英知ちゃん(仮)であるとはいっていなかった。
その後、英知ちゃん(仮)とのメールのやりとりが頻繁になったという。しかし、当時、気になったのは、目の前にいる男友だちにはほとんど話しかけもせず、「メールで」の一点張り。
何気なく、私が聞いた。
「ねぇ、会社にはイケメンはいないの?」
……いたら、紹介してくれ。
男友だちは、
「あっ、うん。合宿の同部屋にイケメンの先輩がいたよ。女の子がいうには『モテる先輩』なんだって…」
「……」
私は、思わずいってしまった。
「…間違えたのかな……?」
「何が?」
男友だちは、ずっとニコニコしていた。
「でさ、英知ちゃん(仮)とは、ずっとメールでしか盛り上がらないんだ。無口なんだよね。もっと積極的に話させたいんだ。……外で何度か会っても無口だし、メール内だけはよく喋るんだ」
「えっ…?」
「『他に誰が来るの?』とかいわれちゃった……目の前にオレがいるのにね♡」
「あ、ねぇ、会社内でメールアドレスの交換って流行ってんの?」
「あっ、うん。関係ある周りの人とほとんどメルアド交換したし、英知ちゃん(仮)には何かと気にかけているし、積極的にメールを出しているよ」
「ふ~ん」
久し振りに会った男友だちは、気になる子がいるみたいだった。しかも、相手から来てくれたっぽい。そこに感激しているみたいだった。
しかし、今どきのゲーム会社の新人の女の子はグイグイいくんだなと思った。
ある男の告白 密(ひそか) @hisoka_m
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