第2話 世帯構造

私は1980年と2023年の世帯構造を比較してみた。


単独世帯(一人世帯)

 604万8千世帯(1980年)

1,849万5千世帯(2023年)


夫婦と未婚の子のみの世帯

1,296万3千世帯(1980年)

1,351万6千世帯(2023年)


夫婦のみの世帯

 429万7千世帯(1980年)

1,339万5千世帯(2023年)


その他

1,247万5千世帯(1980年)

 904万6千世帯(2023年)


世帯総数

3,578万4千世帯(1980年)

5,445万2千世帯(2023年)


ちなみにその他とは、兄弟姉妹のみの世帯、祖父母と孫のみの世帯、叔父・叔母など直系以外の親族と同居する世帯、シェアハウス等の非親族と同居する世帯等である。


共働き世帯1278万世帯

専業主婦世帯517万世帯

というのは全世帯のうちの32パーセントの人々なのだ。


私は世帯構造をぼんやりと眺めた。

やはり目につくのは、単独世帯(一人世帯)と、夫婦のみの世帯だ。

どちらも約3倍に増えている。

(不安で寂しい…)

私はそう思った。


単独世帯(一人世帯)が増えた理由。


〇高齢者の単独世帯の増加。

〇未婚率の上昇による独身者の増加。


夫婦のみの世帯が増加した理由。


〇子ども独立後の高齢夫婦世帯が増加した。

​〇三世代同居が減り、夫婦単位の生活が主流になった。


三世代同居を増やしたらどうだろうか…。

これについては政府も推しているらしい。

だが、三世代同居にもメリットとデメリットがある。


〇祖父母が孫の世話をすることで親の負担が減る。

✕プライバシーの欠如や教育方針のズレがある。


〇住居費・光熱費が抑えられる。

✕介護負担が特定の家族(主に女性)に集中する。


〇高齢者の孤独死の防止や、健康状態の把握がしやすい。

✕転職や子供の進学に合わせた移動が難しくなる


かくいう私も三世代同居の世帯で育った。

私には2歳年下の妹がいる。

小学校の廊下でバッタリ会った時、私は妹に声をかけた。

「どうしてる?いじめられてないか?」

妹はにっこり笑った。

「大丈夫よ。お兄ちゃん」

もし妹をいじめるような奴がいたら、私はそいつを絶対に許さない。

仮にクラスの皆に妹が無視されるような、私の手に負えないような事態になったとしても、家に帰れば、おじいちゃん、おばあちゃん、専業主婦のお母さん、大学に通っていた若い叔母ちゃんもいた。夜になればお父さんも帰ってくる。

妹の様子がおかしかったら、必ず誰かが気づいたはずだ。

確かに昔からいじめはあった。

でも、三世代同居であれば精神的苦痛が軽くなるのではないか、そんな風に考えたりする。


(完)





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パイは変わらない3 正縁信治 @azuma154

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