喧嘩ばかりする幼馴染同士が、学校でイチャコラ(喧嘩)する話
近藤玲司
第1話 二人は仲が悪い……?
——この学校には、有名な幼馴染同士がいる。
男の名前は
二人は男女問わずに皆んなから慕われていた。
勉強ができて、運動神経も抜群。社会性もあり、生徒だけではなく、先生も彼らを気に入っていた。
——ただ一点を除けば。
「おい真由美」
とある物を持ち出して、純一はそれを彼女の机に叩きつけるように置いた。
「なに?」
「……お前だよな?これ」
「ん?……あぁ、ノートね。昨日はありがとうね。見せてくれたから助かったわ」
「あぁ、それはいいよそれは。問題なのは……なんだこの落書きは!!」
彼のページには可愛いうさぎが一面に広がっていた。
「あ、それ?あんたのノート味気ないと思ったから、私がデコレーションしてあげたの。感謝してほしいわ」
「ふっざけんな!これ消すの大変なんだぞ!どうしてくれんだよ!!」
「うっさいわね。いいじゃないの。この前のことと比べたら大したことないじゃない」
「この前のこと?」
「……まさか、覚えてないの?私が楽しみにしてた限定プリンをあんたが、食べたことよ……!」
「……あぁ、あれか。美味しかったぞ?」
「あれかじゃないわよ!!何時間もかけて並んで、やっとの思いで手に入れたものなのよ!朝早くから並んで昼食に食べようと思ってたのにぃ……!」
「たかがプリンで怒るって……へっ」
「〜〜〜!!!今鼻で笑ったわね!?」
二人はどんどんヒートアップしていく。そしてその会話を聞いていたクラスは心の中で思う。
また始まったと。
「大体ね!あんた昔から人のもの取るところあるわよね!私のお気に入りのグッズも何回も何回も持ち出して!」
「んなこと言ったらお前は貸したもん全て壊すじゃないか!今回のノートだって落書きしてくるしよ!お前の方がタチ悪いぞ!!」
「なによ!!」
「なんだよ!!」
真由美は椅子から立ち上がり、猛獣のような形相で睨みつける。純一もそんな彼女に負けない形相で彼女を睨みつける。
そう、二人は幼馴染にもかかわず……いや、幼馴染ゆえなのか、毎日のように喧嘩をしていたのだ。
ある意味二人のイチャイチャを見せられているように感じたあるクラスメイトが言う。
「もう付き合えばいいのに」
「「誰がこんな奴と付き合うか!!!」」
ぼそっと呟いたにも関わらず、二人は同時に答える。
喧嘩をしているのか、それとも見せられているのか最早分からない。
今にも喧嘩が激しくなりそうになった時、チャイムが鳴った。
「……覚えとけよお前」
「そっちこそ、覚悟してなさい」
二人はお互いに悪態を吐き、鼻を鳴らして離れた。
これは、そんな仲がいいのか悪いのか分からない喧嘩ばかりする二人の日常物語である。
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