第3話

「あれぇ? スライムだっ!」


俺強過ぎだろ…と困惑していたら、可愛らしい声が聞こえてきて思わず振り返る。


すると、そこには一見するとどこかのお姫様かと勘違いするような可愛い少女が立っていた。

しかし、その少女の黄色い髪(金髪と言いたくない)は三つ編みになって両サイドにあり、特に着飾った様子もなく、動きやすさ重視になっているところを見ると、おそらく冒険者なのだろう。


まさにその可愛らしい声の持ち主といった容貌だった。


その少女の視線は一見変わりのないスライム―俺に向けられていた。


―そっか、俺スライムじゃん。


少女は俺の周りを歩きながら訝しそうに俺を見ていた。


「ただのスライムだったらいくら魔力量エネルギーが少なくても気配ぐらいはあるはず…」


さっきから何やらつぶやいてるし…怖い。

いや、可愛いんだけど。


「さてはキミっ! ただのスライムじゃないなっ!?」


少女はそう言って、探偵のように俺にびしっと指を指してきた。


「いや、普通のスライムなんですけど…」


思わず声が出てしまった。


違うところと言えば…別の世界から転生して来たところと、能力スキルが4つあって全てが超異チート過ぎるところだけ…。


すると少女はむむっという表情になり―


「やっぱりキミはただのスライムじゃないっ!!」


あ、しゃべっちゃダメだった?

もう全部話しちゃうってのも手か?


「えーっと、俺は…ただのスライム…だよっ?」


ただのスライムを装って可愛らしく言ってみた。


…ちゃんと声を聞かなかったから分からなかったけど、俺の声って可愛くなってる?

前世が男だったからてっきりそのままかと思ってたけど、男の子にも女の子にも捉えられる声になってるな。


「いやいやいや! 可愛さで誤魔化せると思うでないっ!!

しゃべれるスライムなんていないんだよっ、私の知る範囲ではっ!」


「知る範囲かよ!」


あ、やべ。


すると、少女は堪えきれなくなったようで可愛らしく笑い出した。


もう言うしかないか…。


「俺は、確かに君の言う"ただのスライム"ではないかもしれない。

だけど、俺自身はスライムだと思っているし、それ以上でもそれ以下でもない…と思う」


と、俺は今までのこと(転生したこと)を話し出した。


少女は意外に真剣に俺の話を聞いてくれた。


…一応、能力スキルが最強過ぎることは伏せたけど。

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RPGゲームの敵モブ・スライムに転生した俺 色蜜ほへと @1682-hoheto

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