大人の定義

文屋治

大人の定義

 昨今の世情を見るに…二十歳を越え、酒を呑め、身体が大きく成長した者が大人であると勘違いしている人間が多いようである。

 れは全くもって、

 酷い思い違いである。

 歳を二十重ねれば大人なのか?

 酒が呑めれば大人なのか?

 身体が大きければ大人なのか?

 問答無用、

 断じて違う。

 誠の大人と云う者は、そう容易く誰もが成れるものではない。

 齢二十は大人と成れる歳ではない。大人と成るよう努め始めなくてはならぬ歳である。

 私見によれば、大人と云う言葉はもっと厳正に取り扱うべきものであり、誰よりも良き人間で在ろうと必死に足掻き、苦労を重ね、数え切れぬ程の悔しさと哀しみを知り、そうして初めて人は大人と成れるのである。

 大人の定義。

 如何なる文献にも明記されておらず、霞の様に不明瞭であるが、全ての人々の生涯の内に確と存在する此の不可視の定義を常日頃考察し、試行錯誤を繰り返しながらも、二十歳を過ぎた者達は大人と成れるよう努めて生きるべきなのである。


 子供の頃の自身に、胸を張り、見せたい姿と成れ。

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