君と眠気とコーヒーと

　=================　このお話はフィクションです ============

　俺は、女の子をナンパしては、「落される」名人。

　今日、路上でナンパした彼女も、喫茶店でコーヒーを飲んでいたら・・・むむむむ。

　眠りから覚めると、伝票に「ごちそうさま」と書いていて、帰った後だった。

「あ、お客さん、勘定、忘れてますよ。お疲れなんですね。」

　2人分の精算を済ませて、帰る時に「ああ、夕べ残業で遅くなっちゃったんだ。ごちそうさま。」と、一応言っておいた。「どうも。またいらして下さい。」

　違う日。映画館帰りにナンパしたら、「いいわよ。ダージリンティーなら。」とOKが出た。

　そして、眠り込んでしまった。

　眠りから覚めると、伝票に「ごちそうさま」と書いていて、帰った後だった。

「あ、お客さん、勘定、忘れてますよ。お疲れなんですね。まいど。」

　違う日。電車でナンパしたら、「おごり、よね？私、イチゴパフェ食べたかったんだ。」とOKが出た。そして、喫茶店へ。

　いつものように、コーヒーを注文したらまた眠くなるかも、と思って。苦手だが。ココアにした。

　眠りから覚めると、伝票に「ごちそうさま」と書いていて、帰った後だった。

「あ、お客さん、勘定、忘れてますよ。お疲れなんですね。試供品でよろしければ。」とウエイターにココアのインスタントパックを貰った。

　違う日。ウインドウショッピングしていたら、「あなた、今ポケットに入っているもの、見せてくれる？」と言われ、出したら、スマホと一緒にクマのストラップが出てきた。

「ちょっと、付き合ってくれる？」

　向かい合わせの女性は、「このストラップ、値札付いてるよね。」「はあ？」「やったよね。」

「はあ。」

「当麻愛子さんをやったよね？オリビア響子さんをやったよね？最上このみさんをやったよね？小中まきさんをやったよね？大利根慶子さんをやったよね？轟美智子さんをやったよね？レイプと殺人。計画書度通りにやったよね？板東進次郎さん。」

「はあ。」

　俺は、拘置所に戻された。

　明日、弁護士が来るらしい。

「コーヒー飲みません？」と女性警察官に言ってしまい、往復ビンタされた。

　おしっこ、ちびった。

　俺は、ナンパしただけなのに。

　コーヒー飲むと眠くなるだけなのに。

　俺は、女性警察官に「落され」た。

　―完―