第4話 ミーコ君と助手の”抜けない問題”とポチの開帳
「先生、痛いです、早く抜いて下さい」
前で屈んでいるミーコ君が、泣き声で私に訴える。
「ハメたのは、私のせいじゃないからね、それとじっとしてて」
私は、指先に力を込めた。
「痛い、もう助手が、きっと可愛いって言うから、先生早く抜いて~」
「助手?ああ、下でノビてる」
(しまった)
私の集中が一瞬切れた。
すると、指が滑ってミーコ君から離れて私は尻もちをついた。
私に付きあうようにミーコ君が私の上に倒れてくる。
一応、状況を説明しておくと、私はミーコ君の頭にはまった金の輪っかを抜こうとして、奮闘したが、手が滑って尻もちをついた。その私にミーコ君が覆い被さってきてムフフというわけだ。
もちろん、これは恋及び故意の意図は皆無である。
これも、彼女の2門のバズーカが慣性の法則によって引き起こした事故だ。
見てただろカズマ、これが上に立つ者の運の力ってやつだ。
おっと、そう睨むな。それより己の運気を上げろ、まずは、便所掃除から始めるがいい。ただし女子便所は、やるなよ。
「あ、先生! 見てくださいこれ、すっごいピッタリだったんです!」
床に座りなおしたミーコ君は、先ほどの痛みも忘れて屈託のない笑顔で笑う。
うんうん、そうだね。
私は、笑顔のまま、助手のヤマダに顔を向けた。ただし顔を強張らせて。
「せ、先生……止めようとしたんです、僕は……」
床に倒れていたヤマダは、大したことがなくて何より。
だが、視線を合わせた途端、状況を察したのは、自供も同然じゃないかね。
「助手の人が『これは可愛いでしょ、でも付けちゃダメって』って言うから、つい、カチューシャみたいに付けてみたら……体が勝手に弾んじゃって!」
ヤマダ~、彼女にするなら、ちゃんと考えて相手選べよ。
それに名前、憶えられてないぞ、可哀想に。
私は、大きく深呼吸をした。
おそらく蹴りでも受けて失神したってのが、真相だろう。
今さらどうでもいいが。
「そ、それより、ミーコの頭の輪っかどうするんです」
少し離れた所から、童貞のいや助手のカズマが冷静に言った。
冷静は、いいがミーコ君を呼び捨てにするな。
お前の知ってるのはミーコ君は人形の方だろ。
どうしようもない助手達に係わっていては、進む話も進まない。
ミーコ君の頭の輪っかは、ここでは少なくとも取れなさそうだ。
「シャンプーしたら、するっと抜けないかな」
最悪、その周りの髪を切ってしまえば、おっとこの発言は、助手のどっちかに言わせよう。悪役はごめんだ。
「リンスもするべきですか?」
「……臨ス応変で……ごめん、どうでもいい」
おやじギャグと小さく、そして冷気を纏った声がした。
私は火照った顔を誤魔化すように、ポチの方を振り向いて異変に気が付いた。
(頭の前、なんか光ってないか)
私は、ふらふらと黒光りする巨体の魔装騎士・ポチに近づき、前に回った。
「おおっ!光ってる」
ポチのいかつい頭部、そうだな人でいう額の所が青い明かりが点いてる。
(…魔力が入った?)
「先生、これって、魔力が入ったって事ですよね」
私の横に来て、同じように見上げたカズマが叫んだ。
「そんな事は、知ってる見ろ、胸部が開いていくぞ」
第一発見者は、あくまでも私だからな。
「ヤマダ、観測モニターで、コイツの反応を見てろ!」
「了解っす」
「カズマ、他の遺物の状況確認、動きがあれば、3級警戒を詰め所に連絡」
「オッす」
そういいながら、私は胸部をずっと見ていた。
「先生、ミーコが」
いきなり、カズマから声が、しかも、また呼び捨てだ。
「どうした?胸部が開いたか?」
「はぁ、ええと、目付きが変で、今、先生のすぐ後ろに」
「!」
慌てて振り向くと、私の肘が、ミーコ君の右バズーカにぽよんと接触した。
「ご、ごめんなさい。これは事故だから」
そう言いながら、後ろにジャンプして頭を下げた。
返事が無い。謝ったのに、許さないって事か?
新設された、なんたら委員会に言いつけるつもりか、それとも我が妻にか?
(後者には、言い付ける自体やめて欲しい)
私は、恐る恐る被害者の顔を見る。
なんとミーコ君の眼が血走っている、いや、違う、これは赤く発光しているのだ。
それに彼女の頭の金の輪っかの一点が明滅している。
「ミーコ君」
彼女は、私の横を無言で通り過ぎていく。
告白しようとした女の子が、告白されまいと私の横を通り過ぎた思い出が鮮やかに蘇る。
「先生、ミーコが」
あの後、あの女の子は、金持ちのボンボンの胸に飛び込んだったっけ。
「先生、見てください。ミーコが胸の隙間に、あ~入った」
(なにが、隙間にあ~入っただ、くそ童貞が…)
振り返った時には、彼女は、魔装騎士・ポチの胸の中だった。
「先生!」
「何だ?」
「ブルマじゃなく、イチゴ柄でした」
「……それより、装甲の隙間から、中を覗け」
「えっ、先生が命令したから、覗きます」
誰がミーコ君のパンツを覗けと言った?アホが。
「先生、ポチの装甲内、魔力量が急拡大していきます!」
モニターで観測していたヤマダから、声が聞こえた。
「なんだと、第三級警戒だ。通報しておけ」
そう言いながら、私は装甲の隙間からゆっくり出て来るモノを見ていた。
それは水色のスライムのように見えた。
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