第3話 跳ねるミーコ君、迫るバズーカ2門

「い、いや、あああああああーーーーーっ!!!」


 いきなり執務室の防音扉を突き抜けて、ミーコ君の絶叫が聞こえた。

(まさか)

 あのヤマダは、このカズマと違い、もう、大人の男だったのか。

 でもさ、ミーコ君には、優しく接して欲しいな、ったく…

 一皮むけば、カズマと同じ?逆だったな、見る目ないなあ、私は。

 そう言えば、この国は、割礼は義務だったかな。


 私は椅子を蹴って立ち上がった。


 カズマも顔色を変えて、狼狽えている。

「先生! ヤマダの奴、やりやがりましたか!? 先を越された! あいつ、冴えないフリして、現場でダイレクトに具現化を……!」

 ちょっと、何を言っているかよくわからないなぁ、理系だろお前。


 根暗の技術者に対する、まあ、そっちのケアに関して一回マジで上層部に具申してみるか…それ、私の仕事か?福利厚生?少し違うかな?そういうご時世なのだろうか、溜息が出る。


 と、に、か、く


 ミーコ君の『二門のバズーカ』が、もう露出しているのか、あるいは変形させられているのか。そして、それをミーコ君が望んでいないのなら……


(許さん!)


 自分の人を見る目の無さに毒づきながら、執務室のドアを開けた。

 私の前に出ようとするカズマを抑える。

「もし、そうなら、興味本位にミーコ君を見ちゃいけない」

 もしそうなら、カズマにも見られるのをミーコ君も望まないだろう。

「わ、わかりました」

 そうだ、最初は、ノーマルな男女関係を知るべきだ。

 偉そうな事を思いながら、速足で声のした方に進む。


 そして、私はそれを見た。見てしまった。


 ピンクのぼんぼりのツインテで、白衣で、ミニスカの女の子を……

 その娘が、飛び跳ねていた。


 頭に両手をあげて、飛び跳ねるミーコ君だ。

 ジャンプする時は一瞬遅れて上部に、落下する際には、反対に遅れて下に移動するバズーカ。

(ちがーう!、そこじゃない!)

 彼女は頭部に、はまっている金色の輪っかを取ろうとしているようだ。

 落下で勢いを付けようとしているのだろう。

 ミーコ君の思考パターンとシンクロしている自分が、嬉しいような、悲しいような。

「お前、とうとうやりやがったな!」

 私を突き飛ばさんばかりの勢いで、カズマが私の前に出て呆然としている。

「先生、あれは、なんですか?」

 あれは、バズーカを指していないと信じたい。

「あれ、多分、……遺物だな」

 彼女の近くの台座を見た。

 小物をまとめて置いていたはずが、台座の上に遺物が全くない。

 その中に、頭にはまりそうな金の輪っかがあった気がする。

 ミーコ君に気を取られていたが、足元でヤマダが倒れている。

「ヤマダぁ、生きてるか?」

 彼は、バズーカに、いや、蹴りが頭突きを喰らったのだろう。

 多分、大丈夫だろう。それより、遺物が、いやミーコ君が気になる。

「ミーコ君、とにかく止まりなさい。取ってあげるから」

「先生、お願い、これ取って~」

 彼女は、泣きながら、跳びながら、私の所にやってくる。

 どうして、跳んでくるんだよ、ウサギみたいでかわいいけどさ。

(歩けよ!)

 ウサギのマネをしているクセに聞く耳を持ってって、手遅れか……

「危ない!」

 私は覚悟を決めて、彼女を抱きしめた。

 ドスッ…パフッ…パフッ…

 ちゃんと、抱きしめたか?

 そうだな、バズーカ2門に顔を挟まれたんだから……

(悪い気は、しないよなぁ~)

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