サッドマン
居ぬ犬
悲しみの男、サッドマン!
「はぁ…」
とある街で、うなだれてため息を漏らす男がいた。
男の名はマーク。一般的な青年だった。
マーク「また今日もいじめられちゃった…」
〜回想〜
マークには好きな女子がいた。
その名はエミリー。
その日もマークはいつものようにエミリーに話しかけようとチャレンジしていた
(成功回数:0)。
マーク「あ、あばぼべベばぼはべへほうあぼぶあっふへふん」
エミリー「え?」
マーク「びゃびゃびゃいこひゃうふんらへふはんぬ」
エミリー「…え?」
マーク「ばびばぼぶんばあぼべっぱぷんぼばべべばんぶぼぼばぼ」
エミリー「……えぇ?」
???「そこまでだ」
マークの背後で声が発せられる。
声の主はティー。寺生まれらしい。
いわゆる、いじめっ子である。
ティー「破ぁ!!」
マーク「うわあああああ!!!」
ティー「破ぁ!!」
マーク「うわあああああ!!!」
ティー「破ぁ!!」
マーク「わあああああう!!!」
ティー「破ぁ!!」
マーク「あうわわわわわ!!!」
ティー「破ぁ!!」
マーク「あああああわう!!!」
ティー「破ぁ!!」
うわあああああ!!!「マーク」
〜回想終了〜
マーク「はぁ…」
???「そこまでだ」
マーク「え?」
ティー「破ぁ!!」
マーク「何故ここに!?うわあああああ!!!」
マークは吹っ飛ばされ、ピカチュウ型の気球に跳ね返り、元の位置に墜落した。3.26秒であった。
気づくとティーは消えていた。
マーク「いてて…上の歯と下の歯が逆転しちゃったよ…」
そんなマークの前で、1人の男が立ち止まった。
男は、見た目がレインボー(彩度低め)の全身タイツのマッチョで、
声がカービィだった。
男「どうしたんだ、少年」
マーク「えっ…?あなたは…?」
男「俺の名は…そうだな、サッドマンとでも呼んでくれ」
マーク「さ、サッドマン…?」
サッドマン「ああ、困っている人を助けるヒーローさ」
「困っているんだろう?少年」
マーク「は、はい…あの…話、聞いてもらえますか?」
サッドマン「もちろんだ」
(告白失敗といじめられたことについて説明する)
サッドマン「なるほど…」
マーク「こんな男…ダサすぎてエミリーちゃんに振り向いてなんかもらえない…」
「大人になっても素の性格なんて変わらないだろうし…」
サッドマン「あっ?」
マーク「えっ?」
〜〜サッドマンの脳内〜〜
この少年は…
好きな子に告白しようとしても言葉が出ず…
強い者に
陰で悪口を言うことしかできない…
しかし小さい頃の俺は…
好きな子ができたら照れから嫌がらせしてしまい…
果てにはその子は不登校になり…
その子は人気があったから恨みを持った生徒にボコボコにされ…
先生に相談したくとも完全に俺が悪いから何も言えず…
結果顔中涙と鼻水でべっしょべしょのままその子の家に行って謝ることになって…
その時に「好きだったんだ」と言ったらクソほど引かれた上で振られて…
なんなら暴言言われまくって…
学校での立場は無くなって孤立して…
その子が学校に来るようになった代わりに俺が不登校になって…
あの頃の俺は完全にこの少年より下…ダサい存在だった…
さらにこの少年、「大人になっても素は変わらないだろう」と言った…
つまり…俺に対してこの少年は…
「お前は子供の頃から変わらず、ダサい俺よりもダサいから、
エミリーちゃんどころかどんな女性にも振り向いてもらえねーよw」
と言いたいのか…!?
〜〜現実〜〜
マーク「あの…サッドマンさん…?」
サッドマン「………」
マーク「さ、サッドマ」サッドマン「皮肉か?」
マーク「え…?」
サッドマン「……皮肉を…言っているのか?お前は…俺に…!」
マーク「え、なに、え…?」
サッドマン「ふざけるな!!」
「俺が…俺がどんな女性にも振り向いてもらえないだと!?」
マーク「言ってないよ!?!?」
サッドマン「このっ…!大人を舐めやがってっ…!」ポロポロ
マーク「うわっ!泣いた!?」
サッドマン「うるせえ!悲しい時に泣くってのは!人間の自然な現象だ!」
マーク「なんであなたが悲しいの!?!?」
サッドマン「酷いこと言っておいて、とぼけるな!!」
マーク「僕は何を言ったの!?!?!?!?」
サッドマン「くそぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!」
サッドマンは泣きながらどこかへ走って行ってしまった…
マーク「…」
「流石に…僕はあそこまでダサくないよな…」
「そうだよ、強くなればいいんだ」
「きっとなれる…あの人よりは素質があるはずだ…!」
「人は…!変われるんだ…!!」
マーク(下には下がいる。そう思うと、少しだけ元気が出てきた)
(もしかしたら、あの人はそれを教えてくれたのかもしれない)
(もしあれが、僕を想っての行動なら…)
(とっても、かっこいい)
マーク「…ありがとう、サッドマン」
完
サッドマン 居ぬ犬 @inu-inu
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