ノーマルクエスチョン

塩下 里

第1話 ノーマルクエスチョン

なんのために生きているのか。

たまにこんなことを意味も無く考えてしまう。考えたところで答えは出ないし、もし答えが出たとしてもなにも何も変わらない気もする。


大学を卒業し、特に夢も才能も無かった私はそこら辺にある学歴も収入も自分に見合った中小企業に就職した。なにもない自分を採用してくれた会社には感謝しているが、家から1時間半もかかるところは失敗したなと思う。

いつも通り、6時にアラームが鳴る。いつもは会社に行かないと行けないという気持ちばかりが先行し、身体も頭も起きていない最悪の目覚めだが、今日は寝起きのけだるさがなく、寝ていたことが嘘かのように目が覚めた。

社会人になって1年経とうとしているが、睡眠時間関係なくたまにこういう日がある。1年もあればこんな日が何日かあるのは当たり前なのでだからなんだという話しではあるが。

すっきりと目が覚めたのだから、活動的にいつもできないことをすれば良いのに、だらだらとスマホをいじっていたら、二度寝していた時用の6時30分を知らせるアラームがなった。

7時には家を出ないと間に合わないため、そろそろ起きるか~と思い、無理矢理身体を起こそうとした瞬間、一気に身体が布団に沈んだ。まだ眠たいから寝ちゃおとか会社に行きたくないからずる休みしちゃおとかそういうことでは無く、布団が水になってしまったのように身体が沈むというよりも飲み込まれたという表現の方が近いかもしれない。

視界が暗くなり、寝ていたはずなのにいつの間にか何も無い空間に1人立っていた。

何が起こったのか、ここがどこなのか何も分からない。怖いという感情が湧かないくらいには頭は混乱している。


「あれ?さっきぶりだね。」

突然目の前から女性の声が聞こえ、白い煙のような、綿のようなもやもやとした形が現れた。





ここから私の奇妙な生活が始まった。

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ノーマルクエスチョン 塩下 里 @sal40awa

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