第7話:未来、0.2秒のひらめき
◇◇◇
#1 神楽市・河川敷 — 中ボスの初撃
炎をまとった獣が地を蹴り、爆風のような衝撃波が二人を襲う。
蒼真
「うおおおおおおっ!?速っ!!」
永瑠
「蒼真、伏せて!」
永瑠は蒼真の腕を強く引き、灼熱の突進を――間一髪で回避する。
ガアアアアアアッ!!!
獣の巨体が地面を抉り、土煙が舞い上がる。
蒼真
(……死ぬ……普通に死ぬ……
やっぱりこの世界おかしいって……
なんで俺、昨日まで教室で寝てたのに……
今日もう死にそうなんだよ!!)
永瑠
「蒼真、逃げないで!目を逸らしたら“思考が止まる”。あなたは、戦いに向いてる」
蒼真
「いやいやいやいや!無理無理無理!!
俺、戦闘経験ゼロだぞ!?あるのは“体育のシャトルランで途中棄権した記憶”だけだから!」
永瑠
(……そこは誇るところじゃない。)
蒼真
「なんか言った!?心の声でツッコまなかった!?君!!」
永瑠
「言ってない。」
(めっちゃ言った顔してる!!)
◇◇◇
#2 未来予測の“微光”
獣が再び地を蹴り、咆哮とともに蒼真へ突進する。
蒼真
「うわああああ来るぅぅぅぅ!!」
その瞬間――
脳の奥に光が瞬く。
0.2秒後の情景が、鮮明な一枚絵のように脳裏に浮かぶ。
ユニークスキル
《アーカ・メモリア》未来予測 発動!
蒼真の額に微かな魔法陣が展開。頭の中に宇宙空間が広がり、幾何学模様が走り抜ける。
横からの衝撃。
獣の前足が振り下ろされる位置。
永瑠がカバーに入る未来。
蒼真
「永瑠、右!!俺は左に動く!!」
永瑠
「——っ!?」
(未来位置の読み……!?なんで?このタイミングで!?)
蒼真の声に反応した永瑠は、
一瞬の遅れで獣の攻撃を回避。
蒼真も、危機一髪で致命傷を避ける。
土煙が舞い上がり、
獣の爪が地面に深い溝を刻む。
永瑠
「……さっきの。見えてたの?」
蒼真
「いや……なんか……頭の奥で“こう動け”って……」
永瑠
「……特殊ユニークスキル……!?」
蒼真
「ちょ、ちょっと待って!?昨日から急に人生ハードモードすぎるんだけど!?」
◇◇◇
#3 永瑠、吸血衝動の限界
永瑠の呼吸が次第に荒くなる。顔色が青白く、足元がふらつく。
蒼真
「え……永瑠?…大丈夫か?」
永瑠
「……っ、ちが……これは……」
蒼真
(なんだ……?さっきから永瑠の様子がおかしい……顔色が――いや逆に白すぎる!?)
永瑠
「“力の乱れ”……。再生強化を使いすぎた……。
……血が、必要なの……っ」
蒼真
「血!?俺の!?いや待て!!」
永瑠の瞳が――深紅に輝き始める。
蒼真
(こ、これ完全に吸う気じゃん……
今“吸血鬼です”の目してるじゃん……
いやでも永瑠だし……昨日助けてくれたし……でも噛まれたら死ぬんじゃ……?
死ぬよな……?いや死なない?死ぬ?どっち!?)
永瑠
(……ダメ。こんな時に……よりによってこの人間の血を欲するなんて……
見られたくない……引かれたくない……
……魂環(こんかん)に触れたせい……?
なんで……どうして……止まらない……)
二人
(相手の目をまともに見れない)
蒼真
「言ってくれれば……少しなら……
……血、あげるよ……?」
永瑠
「なにを……言ってるの……あなた……!」
(顔が明らかに赤くなる)
蒼真
「いや、だって死にそうなんだろ!?
敵と戦う前に倒れられたら困るし……」
永瑠
(……あ。……この人間、バカなの……?
いや優しい……いやそれはそれで困る……
なんなの……この脳が混乱する感覚……)
永瑠は、一歩だけ蒼真に近づいた。
その時――
◇◇◇
#4 中ボス、突然空気を読まない
獣
「……よそ見とは、余裕だな。」
二人
「ッッ!?!?」
獣の巨大な前足が振り下ろされる。
永瑠
「蒼真!!」
蒼真
「やば——っ!!」
再び、蒼真の脳裏に“未来の0.2秒”が閃く。
蒼真
「永瑠、俺の後ろに!!」
永瑠
「何を——っ」
刹那、
蒼真の体が自動的に動いた。
獣の攻撃軌道を完璧に読み切り、
刃を“最適な防御位置”へ。
ガキィィィィィンッ!!
中ボスの爪を刀で受け止める。
永瑠
「……っ!!」
蒼真
「く……そ……!!重すぎ……!!腕折れる……!!!」
永瑠はその背中を見つめ――
一瞬、息を呑んだ。
永瑠
(……この背中……やっぱり……どこかで……)
獣
「……興味深い。
人間の器でありながら、魂は“覚醒(アウェイク)”の輪郭を持ち始めた。」
蒼真
「いや輪郭とかどうでもいい!!
誰か助けて!!!」
永瑠
「……行くわ。
蒼真、ちょっと……がんばって。」
蒼真
「がんばれないんだが!?!?」
永瑠の身体から、
紅い霧のようなオーラが立ち上る。
吸血衝動で乱れた力が、
“戦闘用の闇の力”へと転化する。
永瑠
「蒼真……“あと5秒だけ”耐えて。」
蒼真
「5秒も無理ぃぃぃ!!」
永瑠
「できるわ。
……あなたを信じるから!」
蒼真
「なっ……!?
急にヒロインのセリフ言うな!!俺動揺するだろ!!」
永瑠
「……動揺してる場合じゃない。行くわよ。」
永瑠は獣の背後に影のように回り込み、
紅い闇の爪を構えた。
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