第2話:絶望

しばらくして学園側の応援が来た。

その中に琉の弟、琉時がいた。

琉時は弓のスペシャリストと言ってもいいくらい弓の扱いが上手だ。

そう、私よりも。


「何が目的ですか…あなた、黒羽ですよね。ルインブレードの使い手の。

それから、エクシード•レガリアの使い手、黒斬。

あなたたち最近すごく有名ですよね。」


「……!?」


黒…羽……?琉じゃないの…?

琉時の言葉に、私は声を失った。

琉だと信じた彼は、一瞬で別の人物だと思い知らされた。


でも、それでも…あの背格好、あの音を…

私は知っている。

覚えている。だから、私は信じ続ける。


私が琉時に声をかけようとした瞬間、琉時は生徒と戦っていた黒い衣装を纏った人物目掛けて矢を放つ。


一直線に狙いの人物へ向かい、確実に当たったと思ったが…

絶望は突然やってくる。

仲間を庇い、黒羽の鳩尾に矢が刺さっていた。


琉時の放つ矢は…早すぎて避けることは不可能と言われている。

私は思わず敵陣へ飛び出した。


崩れ落ちるように倒れる黒羽を受け止め、傷口を抑える。


「おい、どういうつもりだ。お前…敵じゃないのか?」


敵軍の黒斬は私に剣を向けた。

それでも私は黒羽が琉だと信じ、涙を堪えて黒羽の傷口を抑え続けた。

私が黒羽の仮面を外そうとすると、同時に黒羽と黒斬が私の手を強く掴んだ。


やめとこうと思った。


“仮面を取るな”そう言っているように感じた。


黒羽が必死に守った人物が黒羽に近づこうとすると、風を裂く嫌な音がした。


気づけば、その男の頭に矢が突き刺さっていた。

琉時だ。

琉時は正義感が強いから、何があっても敵を倒す。

今の私とは正反対だ。


ヒュンッ__!!


まただ。また、風を裂く嫌な音。

琉時が放った矢は黒斬の足に刺さっていた。


「ぐっ………!!」


「黒斬…!」


座り込む黒斬。

琉時がこちらへ歩いてくる。


「東風谷さん。あなた…そっち側なんですか?」


弓を引き、私に向ける。

私は恐怖で泣きそうになったが、黒羽を…琉を殺してほしくない…!


「私は……」


「そうですか。わかりました。」


琉時は力強く弓を引く。


「…!?待って、私はまだ何も…!!」


琉時が矢を放つ。

私は怖くて目を瞑ってしまった。


あれ…痛く……ない…?


目を開けると…この学園の生徒会長であり、私の幼馴染のりくが琉時が放った矢を掴んでいた。



「りく………!!」


「わあ…そんなことできるのあなたくらいですよ、彩吹さん。」


りくは琉時に向けて剣を構える。


「姫叶を殺そうとするなら…僕は君の敵だけど。

どうする?」


琉時も弓を構え____


「いいですよ。別に。」

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