体験型のホラー作品とも言える(気がする)異色のホラー作品

タイトルの通り、購入履歴(お届け済み商品、配送予定商品、口コミなど)が示されているのみの異色の作品です。
物語が直接的に描かれることはなく、けれどその余白に物語を想像できる――というか想像「させられる」よう。
購入履歴を眺めるだけなのに、そこにある異様な商品名から、嫌な想像が膨らんでしまいます。

しかし、この作品で特筆すべきは、想像に留まらず、読み手にアクションまで起こさせてしまう部分があるところでもあります。

初めにゾクッとするのは、「お届け済みの商品」という第1話に記載されていた5つ目の商品名。
そこから、どんどんどんどん異様な「商品名」が続き、4話目の「明日以降お届け予定の商品」では、突然の文字化け。
この文字化けのために、元々不気味だった雰囲気が、一気により大きなおぞましさに歪んだように感じられました。
そして、何が書いてあるか気になって、文字化けを変換して確認してみると――。

実際に購入履歴を閲覧しているようであり、そこにある文字化けの意味が気になって調べてしまう。
そして、呪いのような言葉に直面する。
読者が作品のキャラクターのように動いてこそ、真に完成する作品でもあると思います。
モキュメンタリーとありますが、ある意味、体験型のホラー作品とも言えるでしょう。
自身の行動により恐怖が大きくなる、という点で唯一無二の新しい作品と言えるのではないでしょうか。

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