第50話 stranger in the terminal(2)
―――もしも、
―――その鍵は君たちだ。
「その鍵は君たちだ―――だったよね?」
山田が、メガネを軽く触ってから言った。
この医師の言葉が、何の意味も持たないものではないということは、三人とも分かっている。
当初、その曖昧な言い回しの意味するところが、彼らにはなかなか分からなかった。
しかし『転入生』としてやって来た
―――成瀬は、彼ら三人と『転入生』として交流を深めていくうちに、不可解な行動を取り始めた。
再会してからというもの―――
これら二つのような、簡単なものなら会話の流れで教えたことをつい忘れてしまった―――ということも、
しかし、驚くべきことに
山田によれば、この『悲惨なクリスマス事件』については周囲の友人たちはおろか、親友の早坂、河北にさえも話していないことで―――
告白失敗直後に、偶然居合わせた成瀬のみが知る、紛れもない事実である、ということらしい。
これら『親友たちについての情報の数々』を、どうしてか把握している成瀬。早坂たちから『どうして知っているんだ』と聞かれても『そんな気がしたんだよね』としか答えないのだ。
おそらく、脳にわずかに残った記憶のかけらが、それに関わる人たちと接したことによって寄り集まって不完全な記憶となったのだ。しかし、完全に回復したわけではないツギハギのデータは、自己の体験に基づく『記憶』としては本人には捉えられない。
なので、あくまでぼんやりと脳に『ある』だけの状態なのだ。
医師が話していたのは、こういうことだ、と早坂たちは思った。
―――幼稚園からの腐れ縁である彼ら三人こそが、
そして、医師はこうも言った。
―――もしも、また彼が倒れるようなことがあれば、落ち込んでいる暇なんてない……それは、またとないチャンスだ、と。
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