第47話 party(2)
―――
彼の脳には、通常とは異なる損壊が生じた。
通常、人間が脳に強い衝撃を受け、記憶倉庫を破壊された場合―――破壊された任意の記憶はもとに戻ることなない。
だが、それと引き換え―――と言っては遜色あるかもしれないが、衝撃以後に経験した記憶には影響が生じ得ないのが通例だ。
だが、
そうすることで―――自壊を定期的に行うことで、情報の蓄積に耐えきれなくなってしまった脳のリソースを補おうとしているのである。
特定の出来事が原因で、記憶喪失に陥った者における予後は、二種類に分類されるらしい。
一つは、記憶がわずかずつ取り戻される状態だ。予後がこちらへ分類された場合は、まず問題はないので、日常生活を自由を行うことが認められる。
しかし、もう一方―――
脳自体がバグのようなものを起こし、自壊を始めてしまう場合に当てはまった者は―――
***
「はぁ!?
「落ち着けって
正月を迎えて間もなく、慌ただしい
由緒正しい家柄に生まれた
かったるい
「―――ふぅ。よし深呼吸して落ち着いた! んで
「落ち着いてねーじゃんか! 襟首掴むなっ今教えるから―――」
―――
おそらく、
責める気にはなれない。何せ、早坂たちですらも何度成瀬に秘密を打ち明けてしまおうか―――と考えたかは、もはや両手の指では数えきれない回数に達していたからだ。
―――恋人
いや、とっくに我慢なんてできない精神的状況に陥っていたことは間違いない―――けれど、新年を迎えるまでは何とか我慢したのだ。
まさか、自分を―――
―――恋人である自身を思い出させることが、
一年前の
事故の衝撃によって、消失した親友たちとの記憶、学校での記憶、そして恋人の記憶―――
それらを、どうにか思い出そうとするたび、
それでも、思い出したかったのだ。けれど、
―――思い出そうとすれば、脳自体が壊れてしまう可能性があるからだ。
しかし、甘衣 凪乃がそれら大切な記憶を無理やりに揺すり起こしたのが、つい二時間ほど前のこと。
普段は、九州の田舎の地域―――宮崎に暮らしている彼ら。
できるだけ大きな病院へ、ということで東京の医療施設へと運び込まれた
そして彼の脳は、現在それら膨大な情報に―――失いたくないと願った大切な記憶に押しつぶされまいと、何とか情報の処理を続けている。
一年前の事故によって欠損してしまった頼りない脳機能で、何とか耐え続けているのだ。
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