第44話 記憶(2)
そこからは、様々な事象がまるでジグソーパズルのように判明しては、また別のことと繋がり、僕の脳みそじゃ許容できない大きさにまで膨れていった。
新たな事実が、僕の脳みそに侵入してくるたびに『どうして』や『そんな』というありきたりなリアクションが、喉元から濁流のように溢れ出てくる。
理解し難いそれらを、耳から鼓膜へ、そして神経を通して脳へ送るたび吐き気を催した。
それでも、たった一人の女の子のために知ることができる全てを知らなければならないと感じた。
今、僕のいる医師用の休憩室は、ベッドと小さな冷蔵庫しかない個室型スペースだ。
壁は、医師が休みやすいように―――という配慮が現れたものなのか『薄い橙色』にペイントされていて、見ているだけで穏やかな気分になれる造り―――なのかもしれない。あくまで、僕のくだらぬ推測だ。
―――しかし、こうしたなんてことないペイントでさえ、今の僕には不快感をもたらす材料になり得る。
てらてらと眼球を照らすその柔らかい色合いは、きっと前にも見たことがある気がした。
たぶん、ここで吐き気を催したのも今回が初めてじゃない。僕は前にもこの医師用休憩室へ訪れたことがあるのだと思う。
眠っていた脳が、少しずつ何かを思い出そうと、懸命に働いているのを感じる。
僕のようすを窺いながら、医師はぽつりぽつりと言葉を紡ぎ始めた。そして『
***
―――まず初めに分かったことは、僕の転入に関してだ。
僕が、今の学校へ転入したのは去年―――2025年の10月ごろのことだ。
そこから、隣の席の
―――そう思っていた。
しかし、僕は実際のところ転入などしていなかったのだ。
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